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» 2010年01月29日 18時23分 UPDATE

位置情報+動画で新体験「ブラアプリ」 「ユビキタスとは反対」の新市場創出へ

「ブラタモリ」を追体験できる「ブラアプリ」は、位置情報を使って動画コンテンツを再活用する試みの1つ。経産省は位置情報を活用した新サービスの市場創出を狙っている。

[小笠原由依,ITmedia]
photo ブラアプリ

 タモリさんが出演するNHK番組「ブラタモリ」をiPhoneで追体験できる「ブラアプリ」は、経済産業省の受託事業として博報堂DYメディアパートナーズが開発した。映像コンテンツの新しい活用法として、映像と位置情報を組み合わせる試みだ。

 ブラアプリは、番組の映像と位置情報を連携。東京・秋葉原や上野、銀座など、過去に番組内で放送したものを含む映像素材に位置情報を付加し、ユーザーの現在位置と連動してストリーミング配信する。

 撮影場所で動画を見れば、風景と映像が重なり、番組の楽しさを追体験できるという。ユーザーの現在地から撮影場所まで案内するナビゲーション機能や、撮影場所に着くと起動し、特別なフレームや効果を付けてユーザーが撮影できるカメラ機能も用意した。

 ブラアプリは、同社が開発した映像に位置情報を付加できる「Rocket Box」を利用したiPhoneアプリの第1弾だ。同社は、既存メディアが持つコンテンツの再活用による新ビジネスを検討。携帯電話やiPhoneへの動画配信と位置情報との連動に可能性を感じたという。

 Rocket Boxに携帯電話やiPhone向けに動画を変換・配信する機能も備え、映像を使った行動連動型サービスを提供する仕組みを整えた。開発を担当した同社の上路健介企画開発プロデュサーは「同サービスを使って、メディアが持つクオリティの高い動画を生かせないかと考えている」という。

 第2弾は、KDDIのAR(拡張現実)技術を利用した携帯電話向けアプリケーション「お宝!グルメレーダー」を利用した宝探しイベントだ。札幌市で開かれる「さっぽろ雪まつり」(2月5〜11日)で実施する。仮想空間上に浮かぶアイコンの中から“お宝動画”の付いたアイコンを探し、ナビゲーション機能を使って動画位置までいくとクーポンなどの“お宝”がもらえる。北海道放送が提供した雪像や周辺の観光スポットの映像、同社のグルメ番組と連動した動画を拡張現実内で配信する。

「ユビキタスとはまったく反対のことを」

 ブラアプリの開発は、同社が経産省から受託した「2009年度ITとサービスの融合による新市場創出促進事業」の一環だ。

 同事業のコンセプトは「今だけ、ここだけ、あなただけのサービス」。同省の加藤幹也 文化情報関連産業課技術係長は「ユビキタスとはまったく反対のことをやろうと思っていた」という。「いつでもどこでも誰にでも見られる――という状況ではコンテンツの価値が希釈される」として、ブラアプリを含め進行中の4つの事業はそれぞれ場所や時間にこだわった内容になっているという。

 今後、経産省は位置情報を活用した新市場の創出に向けて取り組みを進める。その一方で、「今後、すべてのものに位置情報が付くと、例えばかわいい女の子に位置情報を付けてアップする――といったユーザーも登場するかもしれない」と、問題の起こりそうなケースも想定される。トラブルを恐れた企業が尻込みする可能性を考慮し、民間が参入する際のガイドラインを作成するなどして普及を進めていく考えだ。

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