米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは今年、プライバシーはもはや「社会規範」ではないと発言したことでメディアの注目を集めた。しかしWashington Postが5月24日(現地時間)に掲載したコラム(英文)の中で、Facebookのプライバシーコントロールは「的外れ」だったかもしれないと同氏は語っている。
「6年前、われわれは幾つかの単純なアイデアに基づいてFacebookを構築した」とザッカーバーグ氏は記している。「人々は友達や周りの人々と情報を共有し、彼らとつながりたいと願っている。何を共有するかを人々がコントロールできるようにすれば、彼らはさらに多くのものを共有したいと思うようになるだろう。人々がより多くの情報を共有すれば、世界はさらにオープンになり、より強くつながるようになる。そしてよりオープンでより強くつながった世界というのは、より良い世界なのだ。これらは現在でも、われわれの基本的な考え方だ」
ザッカーバーグ氏によると、同社にとっての課題は、情報の共有を容易にする一方で、ユーザーの選択肢とユーザーによるコントロールを確保すると同時に、あらゆるユーザーにとってのエクスペリエンスをシンプルなものに維持することだという。
「これらは、われわれが常に考えている問題だ」と同氏は記している。「われわれが変更を加えるときはいつも、それまでに学んだ教訓を生かすようにしている。われわれが最近耳にした最大のメッセージは、自分の情報を容易にコントロールできることを人々が望んでいるということだ。早い話、Facebookのコントロール機能は複雑だと思っている人が多いということだ。われわれが目指したのは、多数のきめ細かなコントロール機能をユーザーに提供することだった。だが、これは多くのユーザーが望んでいたことではなかったようだ。われわれの考えは的外れだったわけだ」
Facebookの公共ポリシー担当ディレクター、ティム・スパラパーニ氏は5月18日のラジオインタビューで、「当社は最近の批判に応え、プライバシー設定を簡素化する予定だ」と語った。Facebookがプライバシー設定をどのように変更するかは不明だが、ザッカーバーグ氏は数週間内に修正内容を発表する予定だと繰り返している。
一方、Facebookサイトの「パーソナライゼーション」機能とプライバシー初期設定をめぐる批判は依然としてくすぶっている。この数週間、Facebookを批判する人々は米連邦取引委員会(FTC)に訴えるという動きまで見せている。
セキュリティベンダーの米Sophosが最近実施したオンライン調査では、こういった批判のせいで多くの回答者がFacebookの利用をやめることを検討していることが分かった。調査に回答した約1600人のうち、プライバシーをめぐる懸念のためにFacebookの利用をやめる「可能性が高い」あるいは「可能性がある」と答えた人は60%に上った。「利用をやめない」あるいは「その可能性は低い」と答えたのは、わずか24%だった。残りの16%は、既にFacebookの利用をやめていた。
Sophosの上席セキュリティアナリスト、マイク・ヘアロー氏は米eWEEKの取材で、「ソーシャルネットワークは、機密データの保持という観点で企業のITセキュリティ担当者にとって重大な懸念要因であるのに加え、マルウェアの新たな感染経路にもなる」と述べている。
ザッカーバーグ氏は判断の誤りを認めながらも、「Facebookの基本原則は、自分の情報をどのように共有するかをユーザーがコントロールできるようにすることであり、ユーザーが望まない人々やサービスに個人情報を提供することではない」と強調する。
「Facebookは、学生寮の一室で始まった小さなプロジェクトから、何百万人もの人々をつなぐグローバルなソーシャルネットワークへと進化した」と同氏は記している。「われわれはこのネットワークの構築を続けるとともに、今後も人々の声に耳を傾け、Facebookに関心を持ってアイデアを提供してくれるすべての人々との対話を続けるつもりだ。そしてわれわれは今後も、情報を共有する力を人々に与え、世界をよりオープンにし、より強く結び付けるという使命の達成に向けて努力を続けるつもりだ」
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