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「もう一度、みんなが期待できるauに」 Androidで反転攻勢

» 2010年10月18日 18時06分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 田中専務

 「本気のauをお見せしたい」――KDDIが10月18日に開いた2010年秋冬/11年春モデル発表会は、プレゼンテーションのほとんどの時間をスマートフォン関連の内容が占め、従来型携帯電話の紹介はわずか5分間だった。

 「auは元気がない、ほしいものがない、昔はよかったなどと言われてきた。これはほとんど、スマートフォン発売の遅れによるものだ」。12月に新社長に就任する田中孝司専務はこう話し、スマートフォン分野での遅れを一気に取り戻す構え。来年度は新機種半数以上をスマートフォンにしていくという。

画像 機種数では旧来のケータイのほうが多いが、Androidが中心にすえられている

「1台持ちしたい、ギークではない人」にも

 スマートフォン「IS Series」には新たに「REGZA Phone IS04」「IS05」「SIRIUSα IS06」をラインアップ。「Androidの可能性を従来型ケータイのユーザーにいかに訴求するか検討してきた」(同社の増田和彦 サービス・プロダクト企画本部長)結果、IS04と05はワンセグや赤外線通信、おサイフケータイなど日本独自の機能に対応し、“1台持ち”ユーザーにも満足できるようにした。IS05は小ぶりでかわいらしく作っており、若い女性など、「ギークだけでない一般層で、1台持ちしたい人」に訴求する。


画像画像画像 左からIS04、IS05、IS06

画像 モリサワフォント採用

 スマートフォンは差別化が難しいとされているが、IS03/04/05にはモリサワ製フォントを採用し、デザインチームocean observationsのユーザーインタフェースを搭載。「ルックアンドフィール」で違いを打ち出す。携帯電話の着せ替え機能のように、サードパーティが壁紙やユーザーインタフェースを提供する「きせかえTouch」も導入していく。

 デザインブランド「iida」シリーズにもスマートフォンを投入する予定で、10月29日に詳細を発表するという(KDDI、iidaブランドでもスマートフォン――増田氏が明言)。

画像 iidaケータイ「X-RAY

 Android 2.2を搭載したSamsung製タブレット端末「SMT-i9100」や、電子ペーパーを搭載した電子書籍端末「biblio Leaf SP02」も発表したほか、「G'zOne TYPE-X」「AQUOS SHOT SH010」など従来型ケータイや、iidaブランドのスケルトンケータイ「X-RAY」も投入。スマートフォンとケータイの「両立て」で展開し、幅広いユーザーニーズに応える構えだ。

画像 jibe

 「新しい時代に、新しいアプリを提供したい」(増田本部長)と、スマートフォン向けアプリも強化。GREEやmixi、Twitter、各種ブログサイトの更新情報を一元管理したり、携帯電話のアドレス帳と連携させたり、グルメサイトからレストラン/スポット情報を検索できる「jibe」(ジャイブ)を開発した。

 スマートフォンは当面、Android端末を中心に提供するが、ほかのOSの端末についても「ユーザーが興味があるものは導入していきたい」(増田本部長)という。

「禁断のアプリ」Skype対応 トラフィックは「まだ大丈夫」

 先週末からうわさされていたSkype Technologies(ルクセンブルク)との提携も正式に発表。auのスマートフォンと携帯電話にSkypeアプリを導入する(auの「禁断のアプリ」、やはりSkypeだった)。料金体系など詳細は改めて発表するが、「Skype同士の通信は無料、という前提は守って決めていきたい」(田中専務)という。

 初のモバイルルータ「Wi-Fi WALKER DATA05」や、au端末に接続して無線LANのテザリングを可能にするモバイル無線LANターミナル「NEX-fi」(イデアクロス製)もリリース。Skypeの解禁とあわせ、データトラフィックの増大が懸念されるが、「auはまだ大丈夫」と田中専務は胸を張る。

 中長期的には、固定網や、UQコミュニケーションズのWiMAX回線などグループのさまざまな回線を活用しながら、トラフィックニーズに応えていくという。

「遅れは取り戻せていない」が……

 Androidで一気に反転攻勢に出たauだが、田中専務は「まだ機種数が少ない」とみており、来年度は新機種の半数以上をスマートフォンにする予定。レディ・ガガさんを起用したCMを放送するなど、Android=auのイメージを強く打ち出していく。

 「もう一度、みんなが期待できるauにしたい。auは今日から変わると分かってもらえれば」――田中専務のそんな思いはユーザーに通じたようで、発表会の様子をライブ配信するUstreamで中継は、平日午前のビジネスタイムにも関わらず1万人以上が同時視聴し、発表内容を評価する声も多かった。

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