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» 2011年01月13日 14時30分 UPDATE

Google ChromeのH.264排除、メディアやブログは批判的

「H.264排除はオープンなイノベーションをサポートしたいからだ」というGoogleに対し、「Microsoftの手口と同じ」「プロプライエタリなFlashはサポートしているではないか」といった批判がわき起こっている。

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米Googleは1月11日(現地時間)、Webブラウザ「Chrome」でH.264ビデオコーデックのサポートを終了すると発表した。同社のオープンソースコーデックであるWebMや、Theoraコーデックの普及を促進するのが狙いだ。

 これらのコーデックは、Webブラウザ内でビデオ・音声コンテンツのエンコードとデコードを行う。Google Chromeプロダクトマネジャーのマイク・ジャザイエリ氏によると、GoogleがHTML5で目指す目標に近いコーデックがWebMとTheoraだという。

 「われわれはWebM(VP8)とTheoraの両ビデオコーデックをサポートしており、ほかの高品質のオープンコーデックのサポートも将来的に追加する可能性がある」とジャザイエリ氏はブログで述べている。

 「H.264はビデオで重要な役割を果たしているが、われわれの目標はオープンなイノベーションを実現することであるため、同コーデックのサポートを終了し、完全にオープンなコーデック技術に当社のリソースを集中するつもりだ」(同氏)

 ジャザイエリ氏はさらに、「この変更が実施されるのは2カ月後だが、Webコンテンツ作成者や開発者がWebMとTheoraをサポートするようにアプリケーションを書き直す期間を与えるために今発表した」と付け加えている。なお、Mozilla FirefoxとOperaの両ブラウザはWebMとTheoraをサポートしている。

 ブロガーたちが指摘しているように、Googleの決定はリスクが大きい。各種のビデオコーデックが存在する中で、H.264はデファクトスタンダードと見なされているからだ。しかしこのコーデックはMPEG-LAが所有権を持つプロプライエタリ技術だ。MPEG-LAは、より有力なコーデックが登場するよりもずっと前にH.264を標準にした。

 高額なライセンス料金を課す組織から提供される技術をサポートしたくないというのがGoogleの気持ちだろう。MPEG-LAでは、米Microsoft、韓国のLG Electronics、パナソニック、オランダのPhilips Electronics、韓国のSamsung、シャープ、東芝といった特許保有企業に代わって数百件のビデオ関連特許をライセンスしている。

 GoogleがH.264のサポートを中止する理由は分かりやすいが、「オープンなイノベーション」をサポートしたいからだというGoogleの巧みな説明をメディアは受け入れていないようだ。WebMコーデックの普及がGoogleのメリットになるのは明らかだからだ。

 Silicon Alley Insiderでは、H.264のサポートを中止するというGoogleの動きについて、これはMicrosoftのやり方とそっくりだと評している。すなわち「自社のフォーマットを推進するために、ほかのフォーマットを犠牲にする」というやり方だ。

 Apple支持者のジョン・グルーバー氏は、今回の方針は純粋にオープン性を目指したものだとするGoogleの説明は偽善的だと指摘する。つまり、Chromeは米AdobeのプロプライエタリなFlash Playerをサポートしており、そこにはオープン性が存在しないというのだ。グルーバー氏は次のように説明する。

 「GoogleがH.264のサポートを中止するのは“オープンなイノベーションを実現するのが目標だから”というのが理由だとすれば、Flash Playerのような閉鎖的技術のプラグインのサポートを中止しないのはなぜか。今のところ、ChromeはFlashをサポートしているだけでなく、独自のFlashも組み込んでいる。GoogleがFlashのサポートを続ける一方で、“オープン性”という名目の下にH.264のサポートをやめるというのは、まったくの偽善としか思えない」

 これもやはり、MicrosoftなどのIT企業の手法とそっくりだ。すなわち、オープン性を受け入れて拡張するとしながらも、そのオープン性が自社にとって利益になるのだ。

 Googleの場合、そのための作戦が、開発者をH.264から引き離してWebMに移行させることだ。同社にとって、これはプライドとお金の問題でもある。

 特許使用料が求められる技術を支持するのは、Googleのプライドが許さないのだ。同社は、WebMコーデックを獲得してオープンソース化するのに巨額の資金を既に投じた。同社は2009年、米On2 Technologiesを1億2460万ドルで買収したのに伴い、WebMを取得した。

 今回のGoogleの方針に関して、米CNETが詳細な分析を掲載している

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