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» 2011年06月23日 17時23分 UPDATE

サーバルームの室温を高める節電効果は? マイクロソフトが検証

データセンターなどの節電対策の1つとして注目されるのが、サーバ設置場所の室温を高める方法だ。その効果はどの程度のものなのか。日本マイクロソフトが紹介している。

[國谷武史,ITmedia]

 日本マイクロソフトは6月23日、PCやサーバ製品での節電に関する記者説明会を開催した。5月に実施した個人向けPCでの節電対策に続く内容で、今回は企業や組織で利用されるサーバの節電対策を中心に説明が行われた。

 情報システムの中枢を担うサーバは、連続的に稼働している場合が多く、小規模な設定変更でも業務への影響が懸念されるだけに、企業や組織では節電対策が難しい部分だ。限られた手段の中で注目されるのが、サーバを設置している部屋(サーバルーム)の温度を高める方法である。日本マイクロソフトは、この方法による節電効果を電力中央研究所と共同で検証した。

 一般的に、サーバルームでは機器を安定稼働させるために、室温を22〜24度程度に、サーバ機器の吸気口付近の温度を26〜26度程度に設定している場合が多い。メーカーの多くが機器の動作を保証する温度は35度前後であり、サーバルームの節電対策では室温をメーカーの保証温度に近い環境とすることで、冷却に必要な消費電力を下げるというアプローチだ。

 検証作業は、電力中央研究所の赤城試験センターに4800ワットの熱負荷装置とサーバ1台を設置し、14キロワットのエアコンを用いて実施された。検証用のサーバは2008年モデルおよび2010年モデルで、OSにWindows Server 2003 R2と同2008 R2をインストール。CPUが約40%の負荷状態で稼働させ、サーバの吸気口温度が22〜45度の範囲内の各設定ポイントで安定したところで、外気取入口、吸気口、排気口、CPUの温度を計測した。

setsuden01.jpg 検証環境について

 その結果から温度と消費電力の関係を分析したところ、吸気口の温度を35度で維持した状態では消費電力の上昇はみられなかった。吸気口温度が35度以上になると消費電力が増大し、検証環境では49度になったところで、機器が強制的にシャットダウンされた。

 作業を担当したサーバプラットフォームビジネス本部の原田英典氏によれば、CPUの負荷が高まると5度前後の温度上昇が確認されたため、現実的に高められるサーバルームの温度は30度程度までだという。

setsuden02.jpgsetsuden03.jpg 温度と消費電力の変化。負荷が高い状態では電力消費が増し、35度のままでは電力消費は増えず(左)。温度が変わっても、パフォーマンスが大きく変化することはなかったという(右)

2度上昇では4万キロワットの節電

 日本マイクロソフトでは、独自データなどから国内には約270万台の物理サーバがあり、59%の当たる163万7000台余りのサーバが東京電力管内で稼働していると試算する。このうち34%(約55万6000台)はデータセンター事業者が運用するもので、これらについては、7月1日から一部企業を対象に実施される電力供給の制限対象から外れる可能性がある。一方、残りの66%は企業保有のデータセンターや、執務室など専用設備ではない場所で運用されているサーバ。この中の多くが電力供給制限の対象になる可能性がある。

 原田氏は、データセンターで消費される電力の56%を冷却などに使われる空調設備が占め、43%が機器本体での消費だと解説した。照明機器が4%、無停電電源装置(UPS)は1%程度。仮にデータセンター内の設定温度を2度ほど上げると、東京電力管内では3万8933キロワットの節電になるという。これは小型の水力発電所4基分に相当する電力量だとしている。

setsuden05.jpg 独自データなどを基に算出した東電管内でのサーバ消費電力の状況

 コマーシャル Windows本部の中川哲本部長は、「多くのデータセンターで可能な限りの省エネ対策を既に行われている。室温を2度上げることも実際には簡単ではない。今回の検証結果はあくまで参考値」と述べた。室温設定の変更による節電は、機器メーカーなどと慎重に検討して実施の可否を判断することが求められる。また、機器側で用意されている省電力機能の活用もある。

 同社は23日からサーバの節電に関する情報をWebサイトで提供している。また、中川氏はサーバの抜本的な節電方法として、仮想化技術を用いた物理サーバの削減やデータセンター事業者のクラウドサービスへの移行を挙げる。特に厳しい競争環境下にあるデータセンター事業者は、省電力化のノウハウを豊富に蓄積しているため、「専門家に委ねることで、ユーザー企業はより高い節電効果を得られるのではないか」(中川氏)という。

PC節電も始まる

 一方でPCの節電に関しては、同社の独自調査(有効回答221社)で18.6%が「既に実施・評価」、47.5%が「検討中」、33.9%が「計画なし」と回答。中川氏は「空調や照明機器に比べるとPCの節電は優先度が低いのかもしれない。“計画なし”の回答企業にも取り組んでいただきたい」と述べた。

 「既に実施・評価」と回答した企業では、52.7%がActive Directoryのグループポリシーやコマンドスクリプトなどの活用で対応。47.3%が従業員への啓発やマニュアルの配布といった対応だった。

 取り組み事例として、大阪府箕面市ではActive Directoryのログオンスクリプトを用い、778台のPCを省電力設定で運用している。コマンドスクリプトとして「PowerCfg.exe」も使用し、「操作しない時間が、5分間でディスプレイを消灯/10分間でHDDを停止/15分間でスタンバイに移行」というルールを設定。なお、スタンバイが難しいシステムを利用する従業員は除外しているという。

setsuden06.jpg コマツにおけるPC節電への取り組み

 また、コマツでは3月からPCの節電対策に着手し、6月からは従業員が任意で節電設定に切り替えるようにした。6月末には本社の1000台のPCを対象に、Active Directoryのグループポリシーを用いて節電設定を導入本格する。7月以降は工場業務用など一部を除いて、9事業所の約7000台のPCにも節電設定の導入を進めていくという。

setsuden07.jpg 23日からWindows Vista/7向けに東京電力の電力需給情報ガジェットの提供を開始した

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