「Windows PC、ちょっとの設定で3割節電」MSが提案──ワンタッチ3割省電力設定ソフトも公開みんなでやれば、PCだけで35万キロワット節電可能(1/2 ページ)

» 2011年05月10日 21時00分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

Windows PC、ちょっと設定するだけで「30%節電」が可能

photo 日本マイクロソフトが展開する「Windows PC節電策」サイト

 東京電力管区内のWindows搭載PCは約2284万台(Windows XP以降 2010年現在)。仮にこれらすべてが約30%節電すれば、35万キロワット分節電可能──。震災に由来する夏場の電力不足が懸念される中、普段多くの人が利用し、業務にも欠かせない道具となっているするPCでどれだけ節電対策ができるか。日本マイクロソフトがWindows搭載PCの節電に関する情報提供、および効果的な利用方法の訴求、提案に取り組む。

 同社は、2011年3月16日に公開したPC節電に関する情報ページ「停電に備え、節電してWindows PCを使用する方法」の反響で、改めて市場・ユーザーの関心の高さを認知。これをより推進すべく、専門機関(電力中央研究所)の協力による100分の1ワット単位で計測可能な特殊電力測定機材を用い、OS別に各世代、形態、各動作別(起動時、スリープ時、アプリケーション動作時、シャットダウン時など)のWindows PCの消費電力を測定し、「(例えばこの構成であれば)この設定にすると何割節電できるか」の検証を行った。

 検証はWindows XP、Vista、7を搭載するノートPCとデスクトップPCの全6パターンで実施。PCの仕様は搭載OS別にれぞれ異なるが、これは現ユーザーの多くが使用しているであろう平均的な構成としたという。「検証PCはユーザーが現在使用している環境になるべく近くなるよう心がけた。新世代のPCは総じて値が低いが、こちらはハードウェアとソフトウェアの両方で省電力性能が進化していることを示す。仮に同じPC仕様であってもOSの新しい順に消費電力は低くなると思うが、今回はWindows 7だから低消費電力です──というアピールではなく、みなさんが普段使用するPCでもちょっとした設定で節電に取り組めますということを伝えるためのものとご理解いただければと思う」(日本マイクロソフト コマーシャルWindows本部業務執行役の中川哲本部長)。初期設定におけるアイドリング時の消費電力の値がもっとも高かったWindows XP搭載デスクトップPCは102ワットに上った。


photophotophoto 検証は業務用機材を使用。2010年発売のWindows 7搭載PC、2008年発売のWindows Vista搭載PC、2006年発売のWindows XP搭載PCの計6種類を用意した(写真左、中央) 初期設定時の平均消費電力はWindows 7搭載デスクトップPCが52ワット、同Vsitaが80ワット、同XPが102ワット。Windows 7搭載ノートPCが16ワット、同Vistaが31ワット、同XPが36ワットだった

 PC利用においては、「使っているとき」はもちろん「使っていないとき」もいかに節電を心がけられるかがポイントだ。

 離席や帰社でPCを使わないとき、シャットダウンとスリープ(XPはスタンバイ)のどちらが節電効果が高いか。同社によると「1時間45分」前後が分岐点になるという。一般的にシャットダウンすれば電力は0カンマ数ワットの待機電力のみ(AC接続時)になるが、シャットダウンと起動時に一時的にかなり電力を消費する。対してスリープは、スリープ時の待機電力こそ多めだが、スリープ移行/復帰時の電力は起動時より抑えられる。なお、それぞれの待機電力を比較しても平均で0.5ワットほどの差がなく、対して起動時の積算電力量(電力と時間を積算した総量)はスリープ復帰の約3倍以上の値を示すことが分かった。

 「この積算電力量で比較すると、スリープとシャットダウン、どちらが節電効果が高いかの境目がWindows XP搭載デスクトップPCの場合、“1時間45分”前後になる。つまり、会議などで席をはずして1時間程度で戻るならスリープ。2時間以上の会議や帰社するならシャットダウンが勧められる。少しの時間離席するシーンでは(シャットダウンすると、再起動に余計な消費電力が必要なので)“積極的にWindowsのスリープ機能を活用”してほしい。なお、休止状態(ハイバネーション)はPC別に個体差が大きく複雑になるので今回は省略させていただいた。こちらはニーズに応じて追って検証したいと思う」(中川本部長)

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photophoto スリープとシャットダウンはどちらが省電力か、「1時間30〜45分前後で戻る(再開する)」ならスリープの方が省電力とのことだ。その分岐点は、Windows 7搭載デスクトップPCが約1時間40分、同Vsitaが約1時間20分、同XPが約1時間45分。Windows 7搭載ノートPCが約1時間50分、同Vistaが約1時間30分、同XPが約40分だった

 PC使用時は「ディスプレイの明るさ調節」が節電に効く。今回の調査によるとディスプレイの輝度を100%から「40%」にするとディスプレイ単体で平均38%、PCシステム全体で平均23%の節電に寄与するという。20分後にディスプレイ切/スリープなしとする初期設定の電源プラン(自宅または会社のデスク)より、電源プランをカスタマイズして5分後にディスプレイ切/15分後スリープ/ディスプレイ輝度40%といった節電を心がける設定に変更すると、90分の利用で最大36%、さらに手動でスタンバイも行う積極節電方法を取り入れると同53%も積算電力量を抑えられる結果が出たという。

photophotophoto ディスプレイの明るさ(輝度)を40%に下げるだけで、PC全体で約23%節電できる。今回の省電力の設定にするだけで節電効果は約30%、東京電力管区内の全Windows PCがすべて同様に行った仮定するなら、35万キロワット分もの節電効果があるという
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