既報の通り、東芝は4月11日、2回の延期を経て2016年度4〜12月期(第3四半期までの累計)決算を発表した。
この決算について、同社は独立監査人であるPwCあらた有限責任監査法人(以下「PwCあらた」)から「結論の不表明」を記した四半期レビュー報告書を受領した。これは、東証1部に上場している企業としては極めて異例の事態だ。
監査法人が決算に対して“結論を表明しない”ことは非常に重大な意味を持つが、いまいちピンと来ない人もいるはずだ。そこで、この記事では「結論の不表明」の持つ意味と、それが東芝にもたらしうる影響を解説する。
東芝のような上場企業は、本店の所在地(会社の登記上住所)を所轄する財務局に会計年度の第1〜第3四半期決算については「四半期報告書」、通期決算については「有価証券報告書」を提出する義務がある。
これらの報告書には、必ず独立監査人(監査法人)による確認書を添付する必要がある。そのため、四半期報告書には「四半期レビュー報告書」、有価証券報告書には「監査報告書」が必ず添付される。
四半期レビュー報告書は企業が作成した決算(財務諸表)について、不適正な表示を疑わせる点がないかどうかを報告するもので、大きく以下の4つの結論が用意されている。
独立監査人が「無限定の結論」以外の結論を出す場合、報告書内にその根拠を記すことも義務づけられている。
四半期レビュー報告書のうち、「無限定の結論」と「限定付結論」については株式上場を維持する上で直接の影響は及ぼさない。
しかし、「否定的結論」と「結論の不表明」については、そのことが株式市場の秩序を乱すと各証券取引所が判断すれば、上場廃止とする可能性がある。つまり、証券取引所で株式を売買できなくなってしまうかもしれないのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR