自前のビデオメモリを少なくすることで価格を下げ、足りない分は高速のPCI Expressを介してシステムのメモリを共有する。これが新世代のバリュークラスGPUのキーテクノロジーとなっている。
ATIがRADEON XPRESS200で採用したHyperMemoryも、NVIDIAがGeForce 6200に組み込んだTurboCacheも、片や統合型チップセット、片やデスクリートのGPUという違いはあれど、ローカルとメインメモリの共有技術という点では同じ性格だ。
ATIはHyperMemoryを、同社の最も廉価なラインアップ「RADEON X300SE」に組み込んだ「RADEON X300 SE 128MB Hyper Memory」「RADEON X300 SE 256MB Hyper Memory」(以下、RADEON X300 SE HM)を3月4日に発表、バリュークラスのグラフィックスカード市場でGeForce 6200 with TurboCacheとコンセプトも技術も完全に競合する製品を投入した。
ATI本社デスクトップ・マーケティングプロダクトマーケティングマネージャーのビジェー・シャーマ氏が述べる、RADEON X300SE HyperMemoryで取り入れられた新しいデザインアプローチは、「PCのリソースを利用し、コストパフォーマンスを最大化することで構造的なコスト削減を実現した」こと。
この言葉だけではNVIDIAのTurboCacheとなんら変わりはない。シャーマ氏は市販ゲームやPCMark04などのベンチマーク結果を並べ、GeForce 6200 wTCよりも優れたコストパフォーマンスをアピールした。
TurboCacheのパフォーマンスはローカルメモリの容量で大きく変わることが知られているが、ATIの示すベンチマークの結果は、どちらもローカルに32Mバイトのビデオメモリを搭載したカードで比べている。
GeForce 6シリーズとの「親和性」が高いDOOM 3こそGeForce 6200 wTCが上回るものの、FarCry、half-life2など軒並みRADEON X300 SE 128MB HMが優勢となっている。
シャーマ氏はHyper Memoryの要素技術と処理の概要も説明。Hyper MemoryはPCI Express x16にネイティブで対応する「HyperMemory System Bus Interface」とシステムメモリとローカルメモリのアクセスを制御する最大帯域12Gバイト/秒の「HyperMemory Memory Controller」、そして共有するシステムメモリとローカルメモリで利用するデータのアサインを行う「HyperMemory Software」で構成される。
PCI Express x16を利用してシステムメモリとローカルメモリでグラフィックデータを共有し、HyperMemory Softwareが状況に合わせてシステムメモリ、もしくはローカルメモリにデータをアサインし、それぞれのメモリを同時にチェックして必要なデータを取り出して処理する。
グラフィックスデータの格納ストレージは、大きく分けてシステムメモリとグラフィックスカードのローカルメモリだが、システムメモリは一次格納庫ともいうべき「GART Memory」とそこからさらにデータが移される「Pageable System Memory」に分けられ、さらにスワップされてHDD、というように、通常のデータと同様グラフィックスデータもシステムメモリを使用できる。
シャーマ氏は「このように複数のストレージに格納されたデータを1つのブロックとして扱うことができる。これが我々の強味だ」とHyperMemoryのメリットをアピールした。
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