今年のトレンド「1キロ級PC」に登場したホットなノート──デル「Latitude X1」(2/2 ページ)

» 2005年05月16日 18時30分 公開
[長浜和也,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 筐体にはマグネシウム合金を使ったような質感は得られない。金属素材でないことから強度的な不安を感じるユーザーもいるかもしれないが、造作はしっかりとしたもので、パネル同士の接合部などで「がたつき」を感じることもない。評価期間中、常時持ち歩き、頻繁にカバンから出し入れしたが、とくに不安を感じたり筐体にガタがきたりすることもなかった。

 実際に持ち歩いて感じるのは、その軽さとバッテリー持続時間の短さ。1.14キロという重さは常時持ちあるこのが苦になる重さでなく、最厚部25ミリという筐体の薄さはカバンの中で「邪魔」にならない。

 しかし、その一方でその軽さを実現するために、標準バッテリーは3セル2700ワットアワーという小型のものが搭載されている。デルのWebページにある製品情報やリリースの資料にはバッテリー駆動時間に触れた記述がないので、公式なデータは不明だが、デルは社内で測定した値として3セルの標準バッテリーで3〜3.5時間、大容量バッテリーで5〜6.5時間というデータを参考値として持っている。

 3セルバッテリーでも3時間は持つ、ということだったが、今回の評価作業で、液晶輝度を7段階中の4レベル、電源管理を「最小電力消費」に合わせて、原稿の執筆作業(テキストの入力、画像のサイズ変更などなど)を移動中の電車や屋外にいる空き時間に断続的に行っているときは、大体トータル2時間前後でバッテリーはなくなってしまった。外回り業務など、バッテリーに依存する利用環境ならば、オプションの大容量バッテリーを用意しておくべきだろう。大容量バッテリーの重量は310グラム。標準バッテリーが170グラムなので、それほどの重量増ではない。

 ただ、今回評価した機材が日本では販売されないPentium M 753(動作クロック1.20GHz)を搭載していたため、日本で販売されるLatitude X1搭載のPentium M 733(動作クロック1.10GHz)の場合は、わずかに改善されることも考えられる。なお、ここで述べたように、評価機が日本で販売されないワンランク上のCPUを搭載したいたため、ベンチマーク結果の掲載もここでは控えておきたい。

 ベンチマークで実際のパフォーマンスが示せないのは残念だが、Latitude X1が、この小さいな筐体に「Sonoma」こと新世代Centrinoを組み込みながらもファンレス構造を採用したことにも、大いに注目しておきたい。

底面を見ると分かるように、吸気用、排気用のスリットがほとんど設けられていない。防塵と静音性能という観点からは非常に優れている。ファンレスのLatitude X1は筐体に熱を拡散することで筐体内部で発生した熱を排出することになる

 Intel 915 GMSにDDR2-400と新世代のパーツを搭載しているので、その高いパフォーマンスとともに発熱も気になる。ファンを組み入れていないので、発生した熱を筐体に拡散して放熱することになるが、あまりにも筐体が熱くなると使い勝手にも影響してくる。

 実際、ベンチマーク動作中のLatitude X1は「ほかほか」となっていた。ちょっと気になるぐらい「ホット」だったので、簡易温度計で測定してみたところ、キーボード面で最も高温だった[F][D]キーの間が摂氏38度。底面で最も高温だった中央部は摂氏45度を超える値を示した。

 ここでは、この温度が不快か否か、という普遍的な指標は示せないが、ひざにぴったりと付けておくには「ジリジリ」と熱い。筐体から十分放熱できるように使う場所はよく考えておきたい。キーボード面の摂氏38度も、筆者の手の平はじっとりと汗ばむほどの「暖かさ」であった。

 サイズと重量は、常時携帯に耐えうるレベルを実現したLatitude X1。12.1インチワイド液晶を搭載した携帯重視ノートとしては貴重な選択肢となる。キーボードなどの使い勝手を維持しながら、カバンに入れて毎日持ち歩くだけのサイズと軽さを実現、そして筐体強度も確保されたことで、短いバッテリー駆動時間をうまくカバーできるユーザーには実に有力な1キロ級ノートPCとなるだろう。

ACアダプタは軽量小型。しかし、電源ケーブルが太いため、重さはともかく、意外とかさばるのが難点
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー