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» 2005年08月15日 11時31分 UPDATE

山谷剛史の「アジアン・アイティー」:中国の「MADE IN JAPAN」 (1/2)

エレクトロニクス関連では磐石の信頼を得た日本ブランド。ところが現代中国においては必ずしも絶対ではないのも事実。今回は中国における日本ブランドの評価にまつわる現実をレポートしよう。

[山谷剛史,ITmedia]

デジカメはメイドインジャパン「最後の牙城」

 8月15日。日本は終戦記念日と呼ばれる日に、中国では戦勝記念日を迎えるが、戦後60周年の今年の8月15日に、USBメモリやMP3プレーヤー、デジカメの中国有数のメーカーである「愛国者」が「抗日戦争記念日デジカメ」を販売する。

 ここで、このデジカメの製品紹介をするわけではないが「愛国者」関係者のコメントには触れておきたい。曰く、「(中国の)家電分野で唯一日本企業が独占している製品カテゴリに挑む」のだとか。このコメントを言い換えれば、中国の家電分野で日本企業が独占しているのはデジカメだけ、ということになる。

 デジカメ以外の「メイドインジャパン」はシェア第1位でないのか? 確かめるべく中国の大型電器店を覗いてみよう。テレビ売り場で日本メーカーもそれなりの展示スペースを確保しているものの、SKYWORTH(創維)、KONKA(康佳)、TCLなどの中国勢やサムソンなどの韓国勢が展示スペースの相当部分を占めている。

 オーディオ機器も日本ブランドが攻勢をかけているが、売り場の大半は無名に近い激安製品が占めている。その中でDVDプレーヤーに注目してみても、売り場は中国メーカー一色に染まっており、日本勢は全滅ともいえる状態だ。

 白物家電も同様。電子レンジ、冷蔵庫、炊飯器などなど、日本のメーカーは高価格高性能製品を販売しているものの、しかし、売り場には中国産製品が圧倒的に多い。

kn_mijpn01.jpg 中国の大型電器店で日本製は高すぎてあまり人気はなく……

 PCを見てみると、日本のメーカー品はノートPCのみ販売。そして、やっぱりこのジャンルでも、レノボなどの中国メーカーにシェアを奪われている。MP3プレーヤーは中国の激安プレーヤーがその価格で支持を得ており、日本製のシリコンオーディオプレーヤーはおろか、iPodすらも多くのシェアを奪うほどには売れていない。

 このような状況において、デジカメ売り場を見てみると、中国でもデジカメが製造されているはずなのに、店では売られていない。売り場では(コダックやサムソンも一部あるが)日本メーカーのデジカメが他を圧倒している。

 デジカメにしたって、AVにしたって、白物家電にしたって、日本メーカーの評判は「高価格」「高付加価値」「高性能」「頑丈」とほぼ同じ。では、なぜデジカメだけが支持されるのか? いくつか理由はあるが、最も大きいのは「価格」 意外と思うかもしれない。

 たしかに、中国のテレビ市場は日本のように液晶テレビに移行することなく、多くの人々が低価格の中国製ブラウン管テレビを選んでいる。

 一方、デジカメ市場では、低価格を売りとする中国製と、高価格といわれている日本製との差はわずが1万円程度。テレビと比べれば微々たる差であるがために、よく知っている日本のメーカーを多くの消費者が選んでいる。

 デジカメで有名な中国ブランドは未だ存在せず、中国メーカー製デジカメは(今でこそ、よくなってきたものの)使用に堪えられないほど性能が劣る、という消費者の「悪い思い出」も影響している。このような理由からデジカメ「だけ」は日本の製品が中国人に圧倒的な支持を得ているのだ。

 このような消費者心理が残っている現状で、愛国者の「抗日デジカメ」もシェアを大きく奪うことは難しいだろう。しかし、もし愛国者なり、ほかの中国メーカーなりが、消費者に「良質なデジカメ」をコンスタントにリリースできるようになったなら、5年後の中国市場では消費者の認識も変わるかもしれない。そのとき、日本製デジカメの市場独占が終わる可能性も否定できない。

コンテンツにリアリティを求めぬ中国人

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