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» 2008年12月18日 11時30分 UPDATE

山田祥平の「こんなノートを使ってみたい」:IdeaPadは“新しい流れ”になる (1/2)

「ThinkPadは法人向け」という姿勢を崩さないレノボ・ジャパンがIdeaPad S10eでコンシューマー市場に参入した。彼らはどれだけ本気なのだろうか。

[山田祥平,ITmedia]

 ベテランのノートPCユーザーにとって、レノボといえば「ThinkPad」とくるだろう。モバイルPCユーザーを引きつける数多くの製品をラインアップするノートPCのプレミアブランドだ。企業向けの性格が強かったThinkPadだが、そのレノボ・ジャパンが日本のコンシューマーPCの市場に満を持して参入する。しかも、最初に投入してきたのがNetbookというのが面白い。そこで、レノボ・ジャパンが考える日本のコンシューマーPC戦略について、レノボ・ジャパンのマーケティング・広報本部長、原田洋次氏に話を聞いてきた。

後発だからユーザーのニーズを絞り込めた

──今回のNetbook投入は、業界最後発に近いタイミングとなりますが、ここまで時間がかかった理由とはなんでしょうか。

原田 理由は2つあります。まず、レノボ・ジャパンとしても、Netbookの市場性を見極めるために時間が必要だったということです。最初のタイミングでNetbookを世に出したほかのメーカーの戦略については、おそらく、どのベンダーも懐疑的だったのではないでしょうか。ここまでこのカテゴリが伸びるとは、最初、予想していなかったはずです。レノボ・ジャパンとしても同様です。ここまで成長するなら、本当はもっと早く出したかったというのが正直なところです。

 もう1つの理由として、出遅れてしまった以上、いつ出すのかを決めるのはとても難しいということです。やるからには、ユーザーのニーズをしっかり見据え、納得してもらえる製品を準備できるタイミングを選ぶ必要があります。レノボ・ジャパンはそのタイミングを待っていたということです。

kn_syohei_07.jpgkn_syohei_08.jpg IdeaPad S10eのボディは、角にカーブをかけて柔らかいイメージにしているが、天板や側面はフラットにしてシンプルでシャープな感じをもたせている(写真=左)。インタビューに応えてくれたレノボ・ジャパン マーケティング・広報本部長の原田洋次氏(写真=左)

──ThinkPadを開発しているレノボには、ほかのベンダーとは違う何かが期待されると思います。その期待に応えられる製品を作るには時間が必要だったということですか。

原田 その通りです。レノボは、ThinkPadのベンダーですから、そこで求められている堅牢性や安定性、信頼性をNetbookでも求められるのは当然です。プレミアムなブランドでリッチなノートPCだから、多少高くてもThinkPadなら受け入れるという感じでしょうか。

 今回のNetbookについては、スペックを抑えたモデルを出すこともできました。ただ、Netbookというセグメントを観察してきて、ユーザーが製品に求めている期待値をある程度分析できたのです。

 Netbookが登場した最初の段階では“新しい物好き”が飛びついただけだろうと判断しました。そのうち、多くのNetbookが競合していくようになり、ユーザーがNetbookに期待している要素が分かれてきました。明らかに売れているベンダーが顕著になってきて、ほかの製品は苦戦している状況であることも把握しています。このようなことをNetbookのビジネスに携わっている関係者の声として聞くことで、ユーザーのニーズが見えてきたということです。今回のIdeaPad S10eは、そこを狙って焦点を絞れたのではないでしょうか。

 焦点が絞れたおかげで、あれこれと複数のモデルをそろえることなく、1つのスペックでIdeaPad S10eを決めてしまいました。オプションでバリエーションを作ることもできたのですが、最も売れるポイントを見つけて、そこにレノボ・ジャパンのリソースを集中投資して、ユーザーにアピールするのが効果的と判断しています。ですから、差別化という点では、限られたリソースの中でいい製品ができているはずです。

失敗できないから必ず勝てる製品を投入した

──レノボのNetbookの性格をひとことでいうとどんな感じになりますか。

原田 Netbookというカテゴリの中で可能な限りのハイエンドスペックを持ち、同じスペックを持つNetbookで比較したときには、どの製品よりも安い。しかし、それにもかかわらず、サポートは万全といったところでしょうか。

 もちろん、デザインにも自信を持っています。デザインによって製品の売れ行きがぜんぜん違うことが、事前の調査で分かっていましたからね。レノボはNetbookで後発である以上、絶対に勝たなければならないのです。だから、絶対値としての価格競争に巻き込まれるのではなく、いちばん高いスペックを実現し、その上で、ハイエンドスペックで比較したときの価格で勝負しようとしたのです。

kn_syohei_06.jpgkn_syohei_01.jpg キーピッチを十分持たせたキーボードもIdeaPad S10eの特徴として訴求している(写真=左)。海外モデルでもカラーバリエーションを展開しているが、日本モデルではブルーとピンクといったS10シリーズとしては独自のカラーを用意した(写真=右)

kn_syohei_02.jpgkn_syohei_03.jpg IdeaPad S10eは搭載したインタフェースの多さも特徴としている。左側面にはアナログRGB、4in1カードスロット、USB 2.0を用意し(写真=左)、右側面にはNetbookでは搭載例が少ないExpressCarc /34スロット、USB 2.0、有線LANが配されている。ワイヤレス接続ではIEEE 802.11b/gのほか、Bluetoothも用意される(写真=右)

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