薄型ボディにクラウド連携、目指したのは“スマート”なプリンタ――キヤノン「PIXUS」発表会新CMキャラクターは芦田愛菜さんと桐谷美玲さん(1/2 ページ)

» 2012年09月27日 00時00分 公開
[池田憲弘,ITmedia]

「多種多様なデバイスが共存する時代」に合ったプリンタを目指す

 キヤノンは9月26日、個人向けインクジェットプリンタ/複合機の2012年秋冬モデルを発表した。A4インクジェットプリンタ/複合機「PIXUS」シリーズの5機種と、写真作品向けのA3ノビプリンタ「PIXUS PRO」シリーズの2機種を2012年10月上旬から順次発売する。

photo 今回発表された「PIXUS PRO-10」、「PIXUS MG6330」、「PIXUS PRO-100」
photo キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏

 製品発表会では、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏が、新製品の概要を説明した。川崎氏は「今までプリンタは、PCやデジタルカメラと接続する機器という立ち位置だったが、タブレット端末やスマートフォン、クラウドサービスが普及したことで、入力機器は多様化し、写真の枚数も増えている。このような時代にどういった機能や価値が求められるかを考えた」と製品開発の背景を述べた。

 そうして生まれた製品コンセプトが「スマートなプリンタ」だ。主力モデルの「PIXUS MG6330」は、薄型化した新デザインのボディを採用し、大容量インクタンクの追加、タッチ操作対応といった改良のほか、クラウドサービスやデジタルカメラとの連携強化を図っている。

photophotophoto 2011年9月にタイで発生した洪水の被害があったものの、国内のインクジェットプリンタ市場は拡大している(写真=左)。プリンタへの入力デバイスが増えたことで、写真の枚数も増えているという(写真=中央)。ボディの小型化以外にも、新製品にはさまざまな改良点がある(写真=右)
photo キヤノン取締役 インクジェット事業本部長の大塚尚次氏

 新製品の説明は、キヤノン取締役 インクジェット事業本部長の大塚尚次氏が行った。大塚氏はまず写真作品向けA3ノビ対応プリンタPIXUS PROシリーズについて説明した。PIXUS PROシリーズは写真作品用のプリンタとして発色や表現力に注力したモデルだ。顔料10色インク機の「PIXUS PRO-10」は上位機「PIXUS PRO-1」に匹敵する色域を達成したほか、透明インク「クロマオプティマイザー」を採用し、均一な光沢感と表面反射の低減、黒濃度の向上を果たした。染料8色インク機の「PIXUS PRO-100」は高発色、高光沢プリントを実現。いずれも3色の黒系インクにより、暗部の色域を拡大している。

 PIXUS PROシリーズに搭載したカラーモード「PROモード」についても解説した。これは、色域のマッピングや人間の視覚特性などを考慮した色調整によって、SRGB色域のディスプレイでの見た目に近い印象の写真プリントを行うものだが、「ハイアマチュアやプロの方においては、キャリブレーションなどでカラーマネジメントされたディスプレイで現像やレタッチの作業をする人が多く、ディスプレイ上で表示されている見た目のまま現像したいというニーズが大きくなった」(大塚氏)ことが開発の要因だという。

photophoto 透明インク「クロマオプティマイザー」の効能(写真=左)。近年はカラーマネジメントされたディスプレイで作業を行うユーザーが増えたという(写真=右)

 PIXUSシリーズは、薄型化した新しいボディを中心に解説した。新デザインのボディでは、給紙方法が前面2段カセットのみとなり、後部トレイをなくしている。これにより製品を壁際に配置することが可能となり、設置スペースが減少させることに成功した。

 大容量インクタンクを用意し、ランニングコスト低減に注力したのも新製品の特徴だが、これはプリンタ購入者へのアンケートがきっかけになったという。「プリント画質や操作しやすさといった点においては、購入者の満足度は高いものの、ランニングコストやインクの交換頻度については満足度が低いという結果が出た」(キヤノンマーケティングジャパン 取締役 専務執行役員の佐々木統氏)ためだ。標準のインクカードリッジも用意するが、大容量タイプの方がランニングコストが優れている。

photophotophoto 新デザインのボディは、従来機に比べて薄くなったほか(写真=左)、天面の手前側のみが開閉するフロントカバーを新設し、インク切れの際に、スキャナの原稿台ごと天面を持ち上げなくてすむようになった(写真=中央)。写真印刷をもっと手軽に行うためのアプリも用意する。「My Image Garden」は複数の写真を組み合わせ、コラージュやカレンダーなどをアプリ側から提案してくれる(写真=右)
photophotophoto 新製品の販売戦略について説明したキヤノンマーケティングジャパン 取締役 専務執行役員の佐々木統氏(写真=左)、プリンタ購入者にアンケートをとったところ、ランニングコストに対する満足度が低かったという(写真=中央)。プリンタの買い換え需要が堅調なため国内のインクジェットプリンタ市場は伸びているという(写真=右)
photophotophoto 大塚氏は新製品の説明に先立ち、タイで発生した洪水の被害を報告した。バンコク付近にあった「ハイテク工場」は使用できなくなったものの、標高が高く、洪水の被害を受けなかった「ラシャチマ工場」(写真=中央)に生産拠点を移し、生産ラインの復旧に注力した結果、被害を最小限に抑えられたという(写真=左)。MG6230の売り上げについても、供給が減少した年末は大きく落ち込んだものの、年明けから復活している(写真=右)
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