連載
» 2014年04月09日 13時00分 UPDATE

SOHO/中小企業に効く「UPS」の選び方(第4回):即戦力なUPSを選んでみた(中小企業編)――重要情報を停電で失わないために (1/2)

「無停電電源装置(UPS)」の基礎知識から、機器に合った製品選びまで、順序立てて解説する本連載。最終回は、中小企業を想定した具体的なオフィス環境を挙げ、それに合致したUPSを選定する。

[山口真弘,ITmedia]

←・SOHO/中小企業に効く「UPS」の選び方(第3回):即戦力なUPSを選んでみた(SOHO編)――不意の停電もこれで安心

中小企業のオフィス(5人程度)機器構成から最適なUPSをチョイス

 停電時のバックアップに欠かせない「無停電電源装置(UPS)」について、前回はSOHO環境での具体的な機器構成例をもとに、おすすめ製品を紹介した。今回はもう少し規模の大きい、中小企業のオフィスを想定した機器構成例を挙げ、最適な製品を選んでいこう。

 計算の具体的な手順および考え方については、前回紹介したので参考にしていただきたい。なお、計算ツールは前回と同様、以下の2つをそれぞれ利用する。

tm_1403_ups2_a.jpgtm_1403_ups2_b.jpg シュナイダーエレクトリックによるAPCブランドのUPS直販サイト「Shop APC」に用意された「UPS選定サポート」(画像=左)。オムロンのUPS製品情報ページに用意された「UPS選定ツール」(画像=右) ※それぞれの画像をクリックすると、該当するWebサイトへ移動

中小企業のオフィス(5人程度)に適したUPSを選ぶ

中小企業で業務に利用する機器構成の例
機器名 台数
デスクトップPC (スリムタイプ) 5台
ディスプレイ 5台
ハブ 1台
有線LANルータ 1台
NAS 1台
外付けHDD 1台
レーザープリンタ 1台

 今回は中小企業のオフィスを想定した機器構成だ。といっても、数十人いるワンフロア丸ごと面倒を見るといった大規模なものではなく、賃貸オフィスのフロア内で、デスクが集まったひとまとまりの部署を想定している。5人の社員それぞれにデスクトップPCが割り当てられ、それらがハブと有線LANルータを経由してNASのデータを読み書きしているという構成だ。NASにはバックアップ用のUSB外付けHDDがつながっているほか、レーザープリンタも部署内に設置されている。

 まず、上記の機器構成の中には「つないではいけない機器」が存在している。それはレーザープリンタだ。前回のSOHO編でもノートPCを構成から除外したが、ノートPCはいわば「つないでも、つながなくても、どちらでも構わない機器」である。それに対して今回のレーザープリンタは、機器の特性上、UPSにつないで使うこと自体がNGだ(詳細は第1回を参照)。よってこれは除外し、残りの機器を見ていくことにする。

 残る機器で注意すべきなのは、NASとそのバックアップ用HDDは、おそらくPCのある場所からは離れたところに設置されていると考えられることだ。ここには書いていないが、仮に光回線を導入しているならば、NASやルータはおそらくONU(光回線終端装置)なども含めて別の部屋に置かれ、そこからLANケーブルでオフィスに接続されているだろう。

 この場合、1台のUPSで両方をまかなうことは現実的ではない。電源容量の問題がなくとも、UPSに延長タップを接続して配線を延ばすとなると、逆に足を引っ掛けて電源を切断してしまうといった別のリスクが高くなるからだ。それゆえここでは「デスクトップPC+ディスプレイ+ハブ」というグループと、「有線LANルータ+NAS+外付けHDD」というグループ、それぞれを別のUPSでバックアップする前提で考えよう。

5台のデスクトップPCを中心とした構成に適したUPS選び

 まずは前者、「デスクトップPC+ディスプレイ+ハブ」というグループについて見ていこう。これらの消費電力合計は855W(ワット)となるので、この値を各社の計算ツールに当てはめていく。

 シュナイダーエレクトリックによるAPCの計算ツールは、単位がWではなくVA(ボルトアンペア)なので、前回の「VA=W÷0.6」という式に当てはめ、855W÷0.6=1425VA、およそ1500VAとして計算した。ディスプレイはバックアップの対象から省いてPC本体だけで計算する方法もあるが、今回はひとまず含めて考えることにする。

グループ1の機器構成と消費電力
機器名 台数 消費電力 消費電力合計
デスクトップPC (スリムタイプ) 5台 120W 600W
ディスプレイ 5台 50W 250W
ハブ 1台 5W 5W
合計 855W
tm_1404_ups4_01.jpg Shop APCの選定サポートツールで条件に合うUPSを検索したところ、6機種がヒットした

 APCのツールで計算すると、リストアップされるのは6機種。最も安価なのは「APC Smart-UPS 1500(SUA1500JB)」だが、製品ページによると完了製品とのことで、後継として「APC Smart-UPS 1500 LCD 100V(SMT1500J)」が案内されている。

 ラインインタラクティブ方式ということで、電圧の変化も補正してくれるうえ、本体の液晶モニタには日本語でステータスが表示されるので、あまり知識がないユーザーにとっても心強い。

 気になる駆動時間だが、製品ページのランタイム(動作可能時間)表で見ても、855Wでのランタイムが8.4分と、5〜10分駆動させるという条件に合致する。今回の計算ではあまり値に余裕をもたせていないので、本来ならばもうワンランク高いスペックの製品も見たいところだが、ほかに候補として挙げられている機種は価格的にかなり割高なことから、ひとまずこの製品を最有力と見なしてよいだろう。

tm_1404_ups4_02.jpgtm_1404_ups4_03.jpg 「APC Smart-UPS 1500 LCD 100V(SMT1500J)」の前面(写真=左)と背面(写真=右)
tm_1404_ups4_04.jpg APC Smart-UPS 1500 LCD 100V(SMT1500J)は、製品ページのランタイムグラフを見ても駆動時間に余裕がある

 同じ構成を、オムロンの製品で選んだ場合はどうなるだろうか。消費電力855W、駆動時間5分という条件で検索したところ、最も安価な候補としてリストアップされるのは「BN150S」だった。ラインインタラクティブ方式を採用し、製品ページのPDFを見る限りでは800Wで9分、1000Wで7分と、先ほどのAPC製品とほぼ同等のランタイムだ。

tm_1404_ups4_05.jpgtm_1404_ups4_06.jpg オムロンが提供するUPS選定ツールで電源容量を「801〜1000W」、バックアップ時間を「5分」として検索すると、3つの製品が表示される
tm_1404_ups4_07.jpgtm_1404_ups4_08.jpg 「BN150S」の外観(写真=左)と接続図(右)
tm_1404_ups4_09.jpg 製品ページのリンク先にあるPDFを見ると、BN150Sは800Wで9分、1000Wで7分と条件に合致していることが分かる
       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.