NTTドコモに聞く、spモードメールとアドレス帳を「クラウド」にする理由:キャリアメールのマルチデバイス対応も(1/2 ページ)

» 2012年12月05日 19時30分 公開
[佐野正弘,ITmedia]

 「ドコモクラウド」という名称で、従来のネットワークに新たな価値を付け加えたサービスの積極的な推進を図るNTTドコモ。その同社が新たに打ち出したのが、メールをクラウド化する「ドコモメール」と、端末のアドレス帳をクラウド化した「ドコモ電話帳」という、コミュニケーションのクラウド化だ。

photo 2012年冬モデル発表会で、「ドコモクラウド」の拡充を発表するNTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏

 中でもドコモメールは、従来のスマートフォン向けメールサービス「spモードメール」に代わる、新しいメールサービスとなることから高い注目を集めている。コミュニケーションの基本となる部分をクラウド化する理由について、NTTドコモの担当者に話を聞いた。

「ドコモメール」はspモードメールと何が違うのか

 ドコモメールは、従来のspモードメールをクラウド化した新しいメールサービスで、2013年1月からの提供が予定されている。spモードメールを契約したAndroid 4.0以降の端末で利用可能となる予定だ。

photophoto ドコモメールの概要

 なぜ、spモードメールをクラウド化することとなったのだろうか。NTTドコモのスマートコミュニケーションサービス部 コミュニケーションサービス企画担当部長である太口努氏はその理由について、「メールなどはすでにマルチデバイスで利用する環境となっており、どのデバイスから利用したときも同じ利便性を提供する必要があった」と説明する。ユーザーが利用するデバイスが携帯電話以外にも広がっていることから、クラウド化によりメールの利便性を高める意味合いが大きいようだ。

photophoto NTTドコモの太口努氏と藤野氏

 さらにもう1つ、現在提供されている同社のspモードメールに対して、ユーザーから厳しい評価がなされていることも影響しているようだ。

 「spモードメールはサービス開始時に急いで開発せざるを得ず、その上にデコメールなどの機能を次々と追加したことで、現在はつぎはぎ状態になってしまっている。ユーザーインタフェースも当初から変更しておらず、時代遅れな印象がある」(太口氏)とのことで、ドコモメールではその反省を踏まえ、機能面だけでなくインタフェースも含めて、より使いやすいメールアプリへと大幅に作り直しているのだという。

 ドコモメールの提供によって大きく変化するのが、メールデータの保存方法だ。spモードメールではサーバーから端末側にメールをプッシュで送信し、それを閲覧するというクライアント主導のメールシステムだったが、ドコモメールではメールデータがすべてクラウド上に蓄積される形となる。ほかのクラウド型のメールサービスと同様、一度閲覧したメールはほかのデバイスで閲覧すると“既読”となるし、機種変更や端末を紛失してもメールのデータが失われたり、引き継ぎに手間がかかったりすることはない。

 またスマートコミュニケーションサービス部 コミュニケーションサービス企画の藤野弘行氏は、メールのデータがクラウド主体に変わるとはいえ、「キャリアメールの使い勝手が従来のspモードメールと大きく変わるわけではない」と説明する。新着メールがプッシュ配信されるタイミングは従来とほぼ同じであるほか、端末に新着メールをコピーして保存することで、オフラインでもメールを閲覧することが可能だ。設定により、端末ではメールヘッダーのみを受信して、本文を取得するときだけクラウドにアクセスすることもできる。

 こうした仕組みを取ることから、メールのやり取りにはIMAPを用いているように見える。だが藤野氏によると「IMAPに近いが、プロトコルは独自のものになる」とのこと。独自プロトコルを採用した理由について、藤野氏は「IMAPなど標準のプロトコルを意識していないわけではないし、実際IMAPの導入も検討したのだが、モバイルで利用するには通信処理が複雑で実装上軽くならなかった。そこでよりモバイルに適した形にするよう、手続きを少なく軽くした独自のプロトコルを用いることになった」という。

クラウド化によって進む、メールのマルチデバイス対応

 ドコモメールがサービスを開始する2013年1月時点で、このサービスが利用できるのは、ドコモの回線契約をしたスマートフォンやタブレットのみ。ただしクラウド化したことによりマルチデバイスに対応し、スマートフォンとタブレットの2台を契約している場合、双方で同じアカウントのメールをやり取りできるようになる。

 その際は2つの回線に“主”と“副”をあらかじめ設定し、副回線で主回線のメールを利用しているときは、副回線のアカウントは利用が凍結された状態になるという。副回線のアカウントを利用するには、一度、主・副回線の設定を解除する必要がある。

 さらに2013年前半には、クラウド化のメリットを高めるため、PCなどからもWebブラウザを経由してドコモメールを利用できる仕組みを整える。その際の認証には、docomo IDを用る。ここでサポートされるWebブラウザは、現在開発中のため決定はしていないが、「シェアが高いものをサポートしていくことになる」と藤野氏は話している。

 ドコモメールの対象機種は、「最新技術を取り入れることで、安定製や品質、レスポンスを高めた」(藤野氏)ことから、対応するのはAndroid 4.0以降の機種のみとなる。そしてドコモメールのサービス開始以降に発売されるスマートフォンには、spモードメールは提供されずドコモメールのみが提供されるという。

 今後メールサービスの主軸はドコモメールに移していく方針のようで、spモードメールのアプリは当面提供していくものの、基本的にはAndroid 4.0へのアップデートを進めて対応端末を増やすことにより、ドコモメールへと移行してもらうことを考えているようだ。

 ちなみに、ドコモメールとspモードメールとではメールの管理が別になっていることから、「一度spモードメールからドコモメールに移行した場合、spモードメールに戻る仕組みは用意していない」(藤野氏)という。ただドコモメール非対応端末にSIMカードを挿入し直して利用した場合は、クラウド上のメール閲覧などはできなくなるが、spモードメールを用いてメールのやり取り自体は行える。

 なお、ドコモメールのメール容量は1Gバイトとのことで、ほかのクラウドメールサービスと比べると見劣りするように見える。だが太口氏によると「平均的なspモードメールの利用動向を見ると、1Gバイトは一般的な使い方で数年分くらいの量。送受信できるメールの容量も1通あたり10Mバイトに制限している」といった理由から、大半のユーザーは1Gバイトで十分と見ているようだ。とはいえ、中には1Gバイトの容量を超える利用者も現れる可能性があることから、太口氏はユーザー動向を見極めて容量のあり方を検討していきたいと話した。

 spモードメールにまつわる問題が解消されるドコモメールには大きな期待がかけられている一方、スマートフォンでは最近、NHN Japanの「LINE」に代表されるリアルタイムなコミュニケーションツールが広まっており、キャリアメールの存在価値が低下しているとの指摘もある。このことについて太口氏は、「メールとチャットではどちらかがどちらかを包含できるわけではない。(LINEなどに対し)脅威を感じないわけではないが、排除するべきではない」と話しており、コミュニケーションの多様化を受け入れつつも、ドコモメールではスマートフォンに当初から用意されているコミュニケーションサービスとしての価値を高めていく方針を示している。

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