モバイルブロードバンドは始まったばかり――LTEシェアトップのEricsson、LTE-AdvancedやVoLTEにも自信Mobile World Congress 2013(1/2 ページ)

» 2013年03月12日 12時06分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
Photo MWCで巨大なブースを構えたEricsson

 モバイルインフラ最大手のスウェーデンEricssonは2月、スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2013」で最新のソリューションを展示し、技術力の高さを見せつけた。無線アクセスの専門家で、Ericssonの無線アクセス戦略およびビジネス開発の責任者を務めるセバスチャン・トルストイ(Sebastian Tolstoy)氏に、今後のLTEの進化や、携帯ネットワークのキャパシティを改善する技術「HetNet」の進展について聞いた。

――(聞き手 : 末岡洋子) 世界のLTEの立ち上がりをどうみていますか。

――セバスチャン・トルストイ氏(以下、トルストイ氏) 米国、日本、韓国を中心にサービスが広がっている。CDMAを展開していたオペレーターも含んでおり、3G(W-CDMA)よりも立ち上がりは順調だ。Ericssonは最大のサプライヤーで、世界のLTEトラフィックのうち50%以上がわれわれの機器を利用している計算だ。これは競合2位のベンダーの2倍以上となる。

 われわれはすでに13万のLTE基地局を出荷しており、現在、平均して4分に1台のペースで出荷している。契約数としては100件を超える。われわれのLTEネットワークは世界の全大陸に及んでいる。

 こうした成功の背景には、LTEサービスが先行してスタートした米国、日本、韓国でわれわれの機器が使われているという実績がある。Ericssonの製品にはこれまでの経験や知識がつめこまれており、堅牢性の高さが競合他社に対する強みになっている。

 具体的には、(1)障害が起こりにくい安定したネットワークの実現 (2)大規模な数のユーザーが同時にアクセスするような負荷が高い状況でも高いピークレートを維持する などといったことだ。これらは実際にライブ環境で実装した経験がなければ実現が難しく、ラボ環境ではシュミレーションできない。

Photo Ericssonのセバスチャン・トルストイ氏

―― 高速で安定したLTEの提供に向けて、どのような技術の強化に取り組んでいますか。

トルストイ氏 MWCでは典型的なLTE設定で150Mbpsの伝送速度を達成するデモを披露している。これは、複数の周波数帯を束ねるキャリアアグリゲーション技術を利用して実現したもので、LTE-Advancedの技術を取り込んている。対応端末も2013年内に登場する見込みで、会場ではQualcommのチップを搭載したSierra Wirelessの商用端末も初公開した。

 キャリアアグリケーションに、8×8 MIMO(Multiple Input Multiple Output)を利用することで、1Gbpsの伝送速度も実現している。これは現在の速度の約8倍高速となる。8×8 MIMOはまだ標準化仕様の策定が完了しておらず、策定には数年かかる見込みだ。機器などのエコシステムの整備を考えると商用化は数年先になる。

 同じくLTE-Advancedの技術であるコンバインドセルの開発にも取り組んでいる。セル境界での速度の劣化に対応する技術で、2013年中に登場する見込みだ。

 このほか、複数のユーザーに同時にコンテンツを配信(ブロードキャスト)するeMBMS(evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)など、効率化技術の開発も進んでいる。

 重要なのは、モバイルブロードバンドは始まったばかりということだ。スマートフォンの普及率は世界レベルでは15%に過ぎず、残りの85%が今後、スマートフォンを手にしてデータの利用が増えることを考えると、キャパシティと速度への需要は今後も増え続ける。モバイルネットワークのトラフィックは2018年に14倍になるとみられ、モバイルブロードバンドは大きなチャンスとなる。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月08日 更新
  1. NHK受信料パトカー・消防車から徴収問題、猛反発を受け「検討を進めていく」と会長 (2026年08月07日)
  2. ドコモが念願の増収増益に好転 「ドコモMAX」好調も後押し、今後は“ロイヤルユーザー”を重視 (2026年08月06日)
  3. まだ「つながりにくい」声ある“ドコモ通信品質問題”の現在地 前田社長が明かす「道半ば」の詳細解説 (2026年08月06日)
  4. 楽天モバイルのローミングは「予定通り9月末に終了」 ただし「ルーラル限定で継続」の可能性も (2026年08月07日)
  5. なぜ? カーナビが「NHK受信料」対象になるワケ 課金されるケースと徴収を免れる方法 (2025年04月15日)
  6. 「NHK受信料の値上げは検討していない」――会長が明言 スクランブル化を求める声絶えず (2026年08月07日)
  7. KDDIが値上げしても解約率が低下した理由 au、UQ mobile、povoを循環させ「脱・販促費競争」へ (2026年08月07日)
  8. 元グループ会社が「ドコモの銀行」になった不満を吸収? SBI新生銀行が「SBIの銀行」として最大5.2万円のキャッシュバックキャンペーンを開催 (2026年08月05日)
  9. 東海道・山陽・九州新幹線の「EXサービス」に複数のサービス改訂 「ご利用票」のスマホ表示などを9月から順次開始 (2026年08月06日)
  10. スマホの「エアコン冷却」がダメなワケ 猛暑日にやりがちな“水没”の危険性と正しい冷やし方 (2026年08月06日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー