「Torque」の開発背景とは MWCで聞いた京セラの海外ビジネス(前編):Mobile World Congress 2013(1/2 ページ)

» 2013年03月14日 22時05分 公開
[房野麻子,ITmedia]

 1月末に米Sprint向けのAndroidスマートフォン「Torque(トルク)」を発表した京セラ。2月にスペイン・バルセロナで行われたMobile World Congress 2013の同社ブースでも、防水・防塵・耐衝撃性を特徴とするTorqueが大々的にアピールされていた。Torqueの開発経緯や、京セラが海外でどのような携帯電話事業を展開しているのかなどを、同社通信機器関連事業本部通信機器統括営業部マーケティング部長の能原隆氏に聞いた。

photophoto 「Torque」(写真=左)と京セラの能原氏(写真=右)

「Torque」に連なるタフネスケータイ「DURA」シリーズ

―― 1月末に発表したスマートフォンの「Torque」はどのような経緯で開発されたモデルなのでしょうか。

能原氏 2012年に発表した北米向けの防塵・防水・耐衝撃フィーチャーフォン、「DURA」シリーズを継承するスマートフォンです。どちらも耐久性(Durability)に優れる法人向け端末として開発したモデルで、頑丈なだけではなくて、日本でも一時期ありましたがプッシュ・トゥ・トーク(PTT)に対応しているのが特徴です。

photophotophoto 折りたたみ型の「DURA XT」
photophoto ストレート型の「DURA PLUS」

 米国ではSprint Nextelが「iDEN」という2Gの通信方式を使ったPTTサービスを提供していて、工事現場や警察、消防などで無線の代わりに広く使われていました。ただiDENはCDMA(3G)と互換性が無いことや、周波数の再編などもあって、6月末でサービスを終了することになった。7月からはCDMAでPTTを実現するQualcommの「Qchat」という方式に切り替えたサービスが始まります。これに対応した端末が必要ということで開発したのが、DURAシリーズ3機種です。

―― 建設現場や警察、消防などに納入されているということは法人向けですか。

能原氏 基本的にはそうです。日本ではありえないようなゴツさですよね。ここがまた面白いんですが、このスタイルが一般コンシューマーにも受けて、「クール」だといわれているんです。

―― アウトドアグッズ的な感じですね。日本でも好きな方は多いと思います。

能原氏 一部ですが、一般のショップ(日本でいうキャリアショップ)でも販売されています。京セラのDURAシリーズがいかに頑丈かということをいろいろ試して、その様子を動画共有サイトに投稿しているユーザーもいます。ちょっとありえない使い方をしていて驚くのですが……。

―― 初めからタフネスケータイとしてのブランドを目指していたのでしょうか。

能原氏 そういうつもりはありませんでした。法人向けPTT対応端末の開発としてスタートし、ユーザーが多い工事現場などで気兼ねなく使ってもらえる端末に仕上げた結果です。

タフなアウトドアデザインとPTT対応を継承したスマホ「Torque」

―― 「Torque」が開発されたということは、フィーチャーフォンだけでなくスマートフォンも“現場”に必要になってきたということでしょうか。

photophoto 「Torque」の正面(写真=左)と背面(写真=右)
photophoto 端末の上面(写真=左)と底面(写真=右)
photophoto 左側面にある巨大なPTT用サイドキーがある(写真=左端)。右側面はカメラ専用キーも用意(写真=右)

能原氏 そうです。業務用のスマートフォンが欲しいというご要望をいただいて開発しました。京セラの米国向けでは初のLTE対応端末で(Sprintの)PTTに対応したりと独自の部分もありますが、ディスプレイが振動して相手の声を伝えるスマートソニックレシーバーを搭載したり、2500mAhの大容量バッテリーを採用したりと、基本的な要素は日本向けの端末と結構近いものがあります。

 ディスプレイは4インチですし、CPUもデュアルコアですから、スペック的にはハイエンドではありませんが、このデザインもクールだといってくださるコンシューマーの方も多いですね。当初は法人向けのみという計画だったんですが、一般市場でも受け入れられるのでは? ということでSprintも積極的にプロモーションしています。Sprintは自動車レースの「NASCAR」シリーズをスポンサードしていますが、先日のレースでは優勝インタビューにTorqueの広告が出ていたそうです。

―― もしかして“トルク”という名前もNASCARなど車を意識したものですか。

能原氏 そうです、車のトルクです。端末の力強さを表現しています。

―― 日本で発売する可能性はあるのでしょうか。

能原氏 それは私どもが決められることではないので……。米国では3月上旬発売ですから、ニーズを見ながら米国以外の市場調査も検討していきたいと思います。

―― ケータイ・スマホを問わず、タフネス端末としては「G'z One」シリーズが先行しています。ほかのブランドをライバルとして意識されたことはありますか。

能原氏 滅相もないことで、他社の製品を意識してということは全然ありません。我々は我々の市場の分析と事業者との商談を経て商品化しているだけで、DURAシリーズやTorqueは法人向けから始まってたまたまコンシューマーに受け入れられたと考えています。

個々のニーズに応えて端末を開発 日本も技術に海外に

―― 海外向けの製品も日本で開発しているのでしょうか?

能原氏 基本的には国内で主導して開発しています。プロモーションなどは現地で行います。米国にはサンディエゴにKyocera Communications Incという販売会社があり、現地のマーケティング部門が日本のマーケティング部と連携して活動しています。

 当社の場合は1つのプロダクトでグローバル市場を制覇するようなブランド力はまだまだ不足していますので、個々の市場に対応した商品をコツコツと作っていきたい。米国ではDURAシリーズとスマートフォンのTorque、これが1つのグループです。それにプリペイド向けの普及価格帯スマホ、そしてフィーチャーフォンですね。この3つが米国市場の基本的なラインアップです。

 日本市場でも考え方は同じで、子供向けの「mamorino」やユニバーサル端末の「簡単ケータイ」シリーズ、女子高生向けの「HONEY BEE」シリーズのように、セグメントされたユーザー向けのプロダクト開発に注力しています。

―― Torqueにはスマートソニックレシーバーが搭載されていますが、日本から生まれたニーズや機能、技術がこれからも海外モデルにも生かされていくのでしょうか。

photophoto MWC2013ではスマートソニックレシーバーのデモも行われた

能原氏 そうですね。スマートソニックレシーバーのテクノロジー自体は、そもそも我々の部品部門とのシナジーでできています。こういったものは積極的に載せていきたいと思っています。

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