LED照明の導入効果と注意点 第2回 「コスト」LED照明(1/2 ページ)

企業におけるLED照明導入の効果を検証する連載の第2回。前回比較した消費電力量のデータから、ランニングコストを比較し、初期導入コストを早期に回収する方法を解説する。

» 2012年04月17日 19時21分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

第1回:「消費電力量」

第3回:「機器選定と導入」

第4回:「運用」

 第1回 「消費電力量」編では、オフィスにおいては照明が消費する電力量を節約することで大きな節電効果が得られることを説明し、直管形蛍光灯と直管形LED照明の年間消費電力量を大まかに計算して比較した。

 さらに、蛍光灯とLED照明の年間消費電力量の差から、年間の電気料金の差額を計算し、1年ごとに積み上がっていく様子をグラフにした(図1)。今回は、このグラフから、初期導入コストを回収するまでの年数、回収期間を早める方法、初期導入コストを掛けられない人のためのLED照明導入法を解説していく。

fluorescent reducing 図1 蛍光灯からLED照明に入れ替えることで節約できる電気料金を積み上げていった結果を示すグラフ

初期導入コストはどれくらいで回収できるのか

 最近の直管形LED照明を見ると、寿命を40,000時間としているものが多い。ちなみに、メーカーによる寿命の定義は、「新品と比べて光束が70%に低下する」までの期間だ。多少暗いことを気にしなければ、さらに長く使える。

 最近は、LED素子の技術革新が進んで、長寿命をうたう製品も登場している。パナソニックは寿命を40,000時間とした上で「寿命を迎えても、新品と比べて95%の光束を維持する」という製品を発売している。シャープは寿命が60,000時間で、60,000時間使用後も新品と比べて95%の光束を維持するという製品を売り出している(図2)。

sharp 図2 シャープが2011年12月に発売した直管形LEDランプ「DL-T420NM」。60,000時間使用しても、新品と比べて95%の光束を維持するという

 多くのメーカーの公称値に従って、寿命を40,000時間とするなら、1年中、24時間点灯し続けても、10年以上使えることになる。第1回 「消費電力量」編で挙げた計算式に合わせて、1日の点灯時間を10時間、1年間の稼働日数を240日とすれば、およそ16年半使える。

 企業の状況にもよるが、10年(あるいは16年半)の間に初期導入コストを回収できれば、コスト面でLED照明への交換の効果があったと言える。図3のグラフを見ると、第1回で挙げた計算例の環境では、初期導入コストが800,000円くらいなら、10年以内に回収できるということになる。

 初期コスト回収は、1日の点灯時間が長く、1年の稼働日数が多いほど、早期に回収できる。第1回で紹介した計算方法で、1日の点灯時間を11時間、1年の稼働日数を260日とすると、節減できる電気料金の累計が8年で800,000円を超える。点灯時間が長く、稼働日数も多い店舗などでは、早期に初期導入コストを回収できそうだ。

蛍光灯の交換コストも無視できない

 図1のグラフでは蛍光灯の寿命と、それに伴う交換コストを計算に入れていない。最近の蛍光灯の寿命は12,000時間程度。1日に10時間使ったとして、3年ちょっとで交換だ。10年間なら3回交換することになる。

 蛍光灯の価格は下落し、まとめ買いなら1本当たりの価格が500円程度になることもある。それでも、100本使っていれば1回交換するごとに5万円かかり、3回交換すれば15万円かかる。直管形のLEDは、事故や不良品がなければ、10年以上交換することなく使える。電気料金だけでないランニングコストを考えると、図3のグラフに蛍光灯交換費用も加味した方がよい。

 図1のグラフに、先に示した蛍光灯交換コストを加算したのが図3のグラフだ。このグラフを見ると、初期導入コストが800,000円なら、8年ちょっとで回収できることが分かる。

fluorescent exchanging 図3 図1のグラフに蛍光灯交換コストを加算した結果

 初期導入コストをなるべく早期に回収するなら、初期導入コスト自体を抑えることも忘れてはいけない。なるべく多くの業者に相見積もりを出してもらい、交渉で安く買う。あるいは大量購入で大幅な値引きを狙うといったことが大切だ。

 さらに、導入後の使い方次第で、電力コストをさらに下げることもできる。次のページでは、電力コストをさらに下げる方法や、税制優遇策などについて解説する。

 

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