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» 2012年05月25日 06時00分 UPDATE

キーワード解説:キーワード解説「時間帯別料金」

東京電力や関西電力が、一般家庭向け電気料金値上げとともに、1日の時間帯に応じて電気料金の単価を変動させるプランを導入しようとしている。この「時間帯別料金」について解説する。

[笹田仁,スマートジャパン]

 時間帯別料金は、電力需要予測から、需要が高くなるとみられる時間帯の電気料金を高くし、需要が低くなると見られる時間帯の電気料金を抑えるもの。電力会社はすでに事業者向けには時間帯別料金プランを提供している。

 時間帯別料金では、気温が上がり、空調機器が大きな電力を消費すると見られる時間帯の電気料金を大きく引き上げ、人間があまり活動していない夜間の電気料金を低めに設定している。

 気温が上がる時間帯の電気料金を大きく引き上げるのは、ピークカットのため。これは、空調機器などのよる電力需要が殺到し、電力会社が供給できる電力量を超えてしまうことを防ぐということ。需要が供給力を超えてしまうと、大規模な停電につながるおそれがある。

 時間帯別料金には、人間に「この時間帯は電気料金が高い」と意識させ、空調を止めるなどの節電活動に取り組むように誘導する効果がある。

 料金が高い時間帯に、電力会社からの受電を最小限に抑える方法もある。料金が高い時間帯は、蓄電池に貯めた電力を活用するのだ。昼間に放電した蓄電池には、電気料金が比較的安価な夜間に充電する。電気料金が高い時間帯に蓄電池の電力を積極的に活用することをピークシフトと呼ぶ。経済産業省はピークシフトを奨励するために、据え置き型蓄電池の購入に補助金を支給している。

 時間帯別料金では、時間帯ごとの料金に違いはあるが、それぞれの料金は決まっている。経済産業省はその考え方をさらに押し進めた「ダイナミックプライシング」の実証実験を始めた。

 ダイナミックプライシングでは、日によって電気料金の単価が変わる。翌日の天候や、太陽光発電システム、風力発電システムの発電量の予測値、翌日の電力需要予測値といったデータから、翌日の電気料金の単価を決定する。

 ピーク需要を抑える、全体の消費電力量を抑えるといった効果が期待できるが、経済産業省は、その効果をより高めるために「インセンティブプログラム」も合わせて実施することを計画している。これは、積極的に節電に協力し、効果を上げた世帯にポイントを付与して優遇するというものだ。

 太陽光発電など、自然エネルギーを積極的に活用しようという動きが目立つが、自然エネルギーには、発電量が不安定で予測が難しいという大きな欠点がある。自然エネルギーを積極的に活用するには、需要と発電量を細かく予測して電気料金の単価を決めるダイナミックプライシングの導入が欠かせないとみられている。

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