関西の節電目標さらに下がり、一番厳しいのは九州にエネルギー管理

電力やエネルギーに関する国家戦略を決める「エネルギー・環境会議」が今夏の節電目標を下方修正した。関西電力の供給量が増えるためで、従来の節電目標「15%以上」を「10%以上」に引き下げた。九州も同じ「10%以上」だが、関西はさらに目標値が下がることは確実だ。

» 2012年06月26日 07時30分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 関西電力が約1か月前の5月29日に発表した時点では、電力需要のピークに対して供給力が15%以上も不足することが想定されていた。7月後半から8月にかけて電力需要が最大で2987万kWに達する一方、供給力は8月に2542万kWにとどまる、というのが当時の予測である(図1)。電源別に見ると、原子力発電が337万kW少なくなるほか、揚水汲み上げ発電も225万kWと大幅に減る見通しを立てていた。

ALT 図1 関西電力が5月29日に発表した時点の今夏の供給力。出典:関西電力

 これに対して6月22日に政府が開いた「エネルギー・環境会議」において、原子力が118万kW、揚水も50kW万強、合わせて約170万kWの供給力を増強できることが確認された。供給力を合計すると需要のピークに対して10%程度の不足に収まるため、関西の節電目標は従来の「15%以上」から「10%以上」に引き下げられることになった。九州電力の節電目標と同じレベルである(図2)。

 同時に、関西電力に対して可能な限りの電力を融通するよう求められていた中部電力、北陸電力、中国電力の節電目標も引き下げられた。この3つの電力会社では今夏に電力が不足する心配はなく、すでに企業や家庭で定着した節電の割合を目標に設定したものである。

ALT 図2 政府の「エネルギー・環境会議」(6月22日開催)で修正された節電目標。出典:エネルギー・環境会議

 むしろ関西よりも厳しい節電を求められるのが九州電力だ。2年前の2010年と同じレベルの需要を想定すると10%以上の不足が見込まれるため、節電目標も「10%以上」に設定されている。関西は追加の原子力発電でさらに118万kWの供給力を増やせる見通しであることから、最終的な節電目標は「7%以上」に再度引き下げられる可能性が大きい。このほか四国電力の節電目標は引き続き「7%以上」である。

 各電力会社の需給見通しにおいては、企業や家庭による節電分が低めに想定されており、実際の需給ギャップはもう少し小さいとみられる。とはいえ猛暑に備えて可能な限りの節電対策を実施することで、計画停電を回避できるように万全を期すべきことに変わりはない。

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