キーワード解説「ルーメン(lumen:lm)」キーワード解説

蛍光灯や白熱電球などの従来型の照明器具では、その消費電力からおおよその明るさを判断できた。しかし、技術革新が続くLED照明の場合は、消費電力から明るさを判断することが難しくなっている。そこで各メーカーはルーメン(lm)という単位で明るさを判断するように推奨している。

» 2012年07月27日 06時30分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 ルーメンとは、光源が放つ光の総量を表す単位。日本語では「光束」あるいは「全光束」と呼ぶことが多い。光源が放つ光の総量を示すので、下方を照らす光だけでなく、横や天井を照らす光も合わせた値となる。

 日本電球工業会は白熱電球とLED電球の明るさを比較対照した資料を公開している。この資料によると、60W形の白熱電球と同じ明るさを得られるLED電球は、810lm(E26口金で、全体照明に使う場合)のものとなる。ちなみに、100W形の白熱電球と同じ明るさを得られるLED電球は1520lmのものだ。

 さらに、日本電球工業会は直管形蛍光灯と同じ性能を発揮する直管形LEDランプの性能要件を「JEL 801」という規格で定めている。40形の直管形蛍光灯の明るさをルーメンで表すと、2600〜2900lm程度になる。JEL 801規格では、直管形LEDランプの明るさは2300lm以上でなければならないとしている。

 ルーメンと混同しがちな用語として「ルクス(lx)」が挙げられる。ルーメンは光源が放つ光の総量を示すのに対し、ルクスは机上面など、面を照らす光の量を示す尺度だ。日本政府が定めた「計量単位令」は、1ルクスを「1平方メートルの面が1ルーメンの光束で照らされるときの照度」と定義している。

 オフィスの明るさを定めたJIS規格(JIS Z91110「事務所の照度基準」)によると、パソコンのキーボードを操作する事務所では、作業する机上の照度は750ルクス以上でなければならないとある。

 ルーメンとルクスの関係は照明器具を取り付ける場所によって変動する。例えば、ルーメンの値が同じ照明器具を取り付けても、天井が高いところと天井が低いところでは、作業面の明るさを示すルクスの値は変わる。

 天井が高いところでは、同じ照明器具を取り付けても作業面までの距離が長くなるので光が減衰し、作業面は暗くなる。JIS規格を満たせない場合は、より強く発光する照明器具を取り付けるか、照明器具の数を増やすなどの対策を採らなければならない。照明器具を選ぶときはルーメンだけでなく、ルクスにも気を付けて選ぶ必要がある。

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LED電球で明るさが不足、12社の54製品が景表法違反

節電のためにLED照明の導入機運が高まる中、製品の購入に注意を要することが明らかになった。消費者庁が6月14日、電球型LEDランプを販売する12社の54製品について、白熱電球と比べた明るさが不足しているとして、景品表示法に違反していることを公表した。


60W形の白熱電球と同じ明るさのLED電球はどれ?

白熱電球はその消費電力を見れば、大体の明るさが分かるようになっている。LED電球では、白熱電球と明るさを比較しやすくするために「白熱電球60W形相当」という形で明るさをアピールしている。しかしこの6月に、表記に比べて明るさが足りない製品があることが明らかになった。では、白熱電球60W形相当の明るさとはどれくらいの明るさなのか?


調光による節電効果をリモコンに表示、自動調光機能も備えるLED照明

既存照明のLEDへの切り替えは、節電に大きな効果を発揮する。ただし、取り替えるだけでは効果を十分に引き出せない、周囲の明るさに応じてこまめに光の強さを変える(調光)ことで、節電効果をより大きなものにできる。東芝ライテックは、調光による節電効果をリモコンに表示するLED天井照明を発売する。


アルカリ乾電池で連続55時間点灯、LED光源の懐中電灯

東日本大震災直後の計画停電の際には、多くの家庭が懐中電灯を用意した。しかし、使い始めてみると電池の消耗が予想よりも激しく、替えの電池をいくつも用意しなければならないということもあった。東芝ホームアプライアンスは、光源にLEDを採用した懐中電灯を発売する。


業界初、白熱電球100W形に相当する大光量を実現した広配光タイプのLED電球

LED照明の普及が進んでいる。特に進んでいるのは白熱電球のLED電球への置き換えだ。従来の照明器具をそのまま使えて、大幅に消費電力量を削減できる。日立アプライアンスは業界で初めて、白熱電球100W形に相当する光を放つ広配光タイプのLED電球を発売する。


低価格なJEL801準拠のLEDランプ、設計の見直しなどで明るさ向上と低価格化を両立

国内電機メーカー各社が揃って日本電球工業会のJEL 801規格に準拠した直管形LEDランプを出荷しているが、海外メーカー製品に比べると割高で手を出しにくかった。シャープは設計を見直して、従来製品よりも24%価格を下げた製品を出荷する。


消費電力量をおよそ6割削減、工場の天井照明をLEDに切り替え

夏がやってくるが、電力供給量に不安が残るままだ。LED照明への切り替えで、消費電力量削減に取り組む企業はかなり増えてきた。住宅メーカーのエス・バイ・エルは、自社工場の天井照明をLED照明に切り替えた。年間の消費電力量をおよそ60%削減できると見込んでいる。


用途を限定して明るさを抑え、価格を下げたJEL 801規格準拠の直管形LEDランプ

オフィスの天井照明を蛍光灯から直管形LED照明に入れ替える例が増えている。しかし、直管形LEDはまだ割高感がある。パナソニックはやや暗くても良い場所で使うことを前提に、照度を落とし、価格も下げた直管形LEDランプを発売する。


省エネ照明のもう1つの選択肢、「CCFL」の実力

消費電力量節減のために、LED照明を導入した人、あるいは導入を検討している人は多いだろう。LED照明の消費電力量は確かに少ない。しかし、省エネ照明の選択肢はLED照明だけではない。最近は、「CCFL」という種類の蛍光管が注目を集めつつある。


LED照明の導入効果と注意点 第1回 「消費電力量」

夏を前にして、節電計画を担当する人の悩みは深いのではないだろうか。企業の節電対策の1つとして重要性が高まっているLED照明への切り替えをテーマに、効果的な導入方法を4回に分けて解説する。


キーワード解説「LED照明」

オフィスで消費する電力のうち、かなりの部分を照明器具が消費している。そこで、消費電力量を大きく下げることを狙って、照明器具を消費電力量が少ないものに入れ替える例が増えている。低消費電力の照明器具を代表する存在となったのが「LED照明」だ。


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