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» 2012年08月24日 11時15分 UPDATE

キーワード解説:キーワード解説「デマンド値」

夏の節電では、需要が最も集中する時間帯の電力消費量を抑えることが最も重要なポイントとなる。この時間帯の消費電力量が電力会社の供給可能な量を超えてしまうと大規模停電などの事故につながるからだ。また、この時間帯に節電して「デマンド値」を抑えると電力にかかるコストを大きく削減できる。

[笹田仁,スマートジャパン]

 デマンド値とは、月単位や年単位の消費電力量の推移を見たときに、最も電力を消費している時間帯の消費電力量を指す。暑い夏の日は、気温が上昇するペースに合わせて、空調機器が消費する電力量が上がる。ほとんどの場合、デマンド値はこの時間帯の消費電力量となる。

 今夏のように電力会社各社の最大電力供給量に不安がある夏には、電力会社は特に強く節電を呼びかける。電力会社は需要が殺到したからといって、際限なく電力を供給できるわけではない。電力会社が供給可能な最大電力量を需要が超えてしまうと大規模停電などの事故につながる。

 このような事態に至ることを避けるため、電力会社は特に需要が殺到しそうな時間帯を予測して、節電を呼びかける。つまり、夏の節電では各需要家がデマンド値を抑えることが最も重要なポイントとなる。

 電力を消費する需要家側も、ある程度このような事情を理解して夏の節電を「協力」ととらえている部分もある。しかし、デマンド値の抑制は需要家にメリットをもたらすということを忘れてはいけない。

 500kW未満の高圧受電契約を結んでいる場合、デマンド値によってその後1年間の基本料金が決まってしまう。つまり、夏に電力を無駄遣いすると、そのツケを1年間にわたって払い続けなければならないのだ。

 一般に日本の電力会社は、30分単位で電力消費量の平均値を求め、過去11カ月の最大値と比較して大きい方の値をデマンド値とし、基本料金を決める。デマンド値を抑える方法としては、消費電力量を監視し、一定値を超えたところで警報を鳴らす「デマンドコントローラ」という機器を利用する方法や、電力の見える化システムを導入して、消費電力量を監視する方法、BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を導入して、自動的にデマンドを抑えるという方法などがある。

 経済産業省は現在、契約電力が50kW以上500kW未満のビルを対象にBEMSの導入を促進する「BEMSアグリゲータ」制度を実施している。この制度は、BEMSの機能を利用して中小ビルのデマンドを抑え、電力会社の最大供給量を超える需要が発生することを防ぐということを目的の1つとしている。

 BEMSというと、それまでは大規模なビルに向けた高価なシステムが多かったが、BEMSアグリゲータに選定された企業が提供するBEMSの中には、比較的安価なものもある。さらに、この制度を利用してBEMSを導入すると、導入にかかった費用の1/2もしくは1/3の補助を受けられる。

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