家庭用としては最大級、出力3000Wの据え置き型蓄電池蓄電・発電機器

据え置き型蓄電池の性能を評価するとき、最も気になるのは蓄電容量だ。しかし、蓄電容量と同じくらい大切な要素がある。それは最大出力だ。この値が大きいと、同時に多くの家電製品を使えるからだ。東芝ライテックは家庭用製品としては最大級の出力を誇る製品を発売する。

» 2012年09月11日 09時15分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 東芝ライテックは家庭向け据え置き型蓄電池の新製品「エネグーン」を2012年11月から発売する(図1)。価格はオープン。充電状態を表す表示パネルなどを備えたコントローラとセットで、実売価格が150万円程度になる見込み。

図1 東芝ライテックの「エネグーン」。蓄電容量は6.6kWh。最大出力は3000W

 エネグーンの最大の特徴は、最大出力の値だ。その値は、家庭用据え置き型蓄電池としては最大級の3000W。これは、30アンペア契約を交わしている世帯が同時に利用できる電力と変わらない電力を出力できるということだ。ただし、停電時の非常電源として利用するときは、最大出力の値は2000Wとなる。蓄電容量は6.6kWhだ。

 通常時の最大出力が大きいため、エアコンなど200V機器にも電力を供給できる。さらに、短時間で充電できるという特長もある。通常充電では、満充電までおよそ5時間かかるが、急速充電を利用すればおよそ2時間で100%まで充電できる。東芝ライテックによると、これは業界最速だという。

 家庭向け蓄電池の使い方としては、夜間に充電して、昼間に放電することで、昼間のピーク時の電力会社からの受電量を抑えるというものが一般的だ。タイマー制御でスケジュールを設定しておくことが可能な製品もある。

 東芝ライテックは以上のような使い方のほかに、世帯の契約電力引き下げに活用する方法を提案している。契約電力は、その世帯の電力需要がピークに達する時間の消費電力を考えて決めるもの。しかし、ピークに達する時間帯はごく短いものだ。短いピーク時間帯の電力需要の一部を蓄電池で補うことで、契約電力を引き下げることが可能になる。

 具体的には、ピークに達する時間帯に入る前に、蓄電池のコントローラにある「アシスト」ボタンを押す。こうすると、契約電力では足りない分の電力を蓄電池が補ってくれる。契約電力を引き下げられれば、基本料金を下げられるので、電力コストを大きく削減できる(図2)。

図2 ピーク時にエネグーンからの電力を利用することで、電力会社からの受電量(青い線)を抑えることができ、契約電力の引き下げも可能になる

 停電時に備える機能も持っている。先に述べたように停電時の最大出力は2000W。東芝ライテックの調べでは、100Wを消費する照明と、160Wを消費する冷蔵庫、150Wを消費するテレビ、30Wを消費するパソコンを同時に使用する場合なら、およそ12時間連続で電力を供給できる。

 さらに、家電向け通信プロトコル「ECHONET Lite」に対応できるという特長もある。東芝ライテックはすでにECHONET Liteを使った通信機能を備えるHEMSの販売を始めている。この製品は、住宅の分電盤から電力消費量を検知する「エネルギー計測ユニット」と、計測結果を受信してインターネット上のデータセンターに送信する「ITアクセスポイント」に分かれている(図3)。

図3 東芝ライテックが発売しているHEMS。左がエネルギー計測ユニットで、右がITアクセスポイント。エネグーンは蓄電池の状態に関わるデータをECHONET LiteでITアクセスポイントに送信できる

 エネグーンは、ECHONET LiteでITアクセスポイントに充電状況や充電回数などのデータを送信することができる。蓄電池の状況は東芝ライテックが管理しているデータセンターにアクセスすることで確認できる。

 ECHONET Liteを利用するには、対応コントローラーと組み合わせる必要がある。データの送信にBluetoothを使うものと、有線LANを使うものの2種類がある。エネグーン本体と組み合わせた実売価格は、どちらも152万円程度となる見込みだ。

 東芝ライテックは、エネグーンを経済産業省の「定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業費補助金」の対象製品とするために申請する予定だとしている。

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