キーワード解説「パワーコンディショナー」キーワード解説

太陽光発電パネルから最大限の電力を引き出し、電流を直流から交流に変換する機器が「パワーコンディショナー」だ。

» 2012年10月05日 11時15分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 「パワーコンディショナー」とは、太陽光発電システムの中枢とも呼べる機器だ。その機能は大きく3つに分けられる。1つ目は環境の変化によって動作状態が変わる太陽光パネルから、最大限の電力を取り出すように制御する機能。2つ目は太陽光パネルから得た直流の電流を交流に変換する機能。3つ目は異常を検知し自動的に発電を停止させ、事故を未然に防ぐ機能だ。

 太陽光発電パネルから得られる電力(W)は、電圧(V)に電流(I)を乗算した結果となる。ただし、電圧を極端に上げて電力を最大化しようとしても太陽光発電パネルは動作しない。

 太陽光発電パネルが動作できる条件、つまり電流と電圧の組み合わせはある程度決まっている。電流を縦軸、電圧を横軸に取ってグラフにすると、左上から右上近くを通り、右下に向かう大きな弧のような曲線を描く。この曲線を「I-V曲線」と呼ぶ。太陽光発電パネルはI-V曲線上の任意の点が指す電流と電圧で動作する。

 最大の電力を得るには、I-Vカーブの内側で最も大きな矩形を描くように考える。矩形がI-Vカーブに触れる点(最大電力点)が指す電流、電圧が、最大限の電力を得られる条件となる。

 I-V曲線は日射量が変化したり、太陽光パネル上に影ができるなどの環境の変化によって軌跡が変わる。このような変化に応じて、電圧などを調整して常に最大限の電力を引き出そうとする機能を「最大電力点追従制御(Maximum Power Point Tracking:MPPT)」と呼ぶ。

 電力を得たら、直流電流を交流に変換し住宅に電力を供給する。先に述べたように太陽光パネルの稼働状況は気象条件などによって変化する。得られる電力も一定ではない、これを家庭でも利用できる安定した電力に変換するわけだ。

 パワーコンディショナーの性能を示す指標の1つとして、「変換効率」が挙げられる。変換効率は主に最大電力点追従制御機能の精度と、直流を交流に変換する際の損失の少なさで決まる。

 太陽光発電システムによる電力を売却する場合は、パワーコンディショナーが電流を送電線(電力系統)に逆流させる。このとき、太陽光発電システムのどこかに異常が発生すると、電力系統に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、パワーコンディショナーは太陽光発電システムの異常を検知して、すぐに運転を止める機能を備えている。

関連記事:これを読めば「パワーコンディショナー」がさらによく分かる!

独自の安全確保機能を搭載、小・中規模太陽光発電向けパワーコンディショナー

太陽光発電パネルが出力する直流の電力を交流に変換し、送電系統に送り出せるようにする機械が「パワーコンディショナー」だ。オムロンは独自の安全確保機能を搭載した、小・中規模システム向け製品を発売する。


大規模ソーラー向けパワーコンディショナー、直流電圧を上げ損失を最小限に

太陽光発電システムも大規模なものになると、かなり大きな電力を扱う。太陽光発電パネルからパワーコンディショナーまでの送電電圧が600Vになるものもある。明電舎はこの電圧を750Vに上げ、パワーコンディショナーまでの送電損失を抑える製品を発売する。


大型カスタム蓄電池で初めて、補助金対象製品が登場

経済産業省は、主に住宅で使用するリチウムイオン蓄電池の購入者に補助金を出している。一方で工場やオフィスビルで利用する大型カスタム製品に対する補助金支給の準備も進めていた。GSユアサは大型カスタム蓄電池としては初となる補助金対象製品を発表した。


産業向け蓄電池が補助金対象に、定格出力は10000W

経済産業省が据え置き型リチウムイオン蓄電池の購入者に補助金を出す事業を続けている。これまで補助対象となった製品は住宅向け、あるいはオフィスのごく一部の機器で利用するもので、大規模なものはなかった。今回、ようやく「産業用」と言える大規模な製品が補助対象となった。


新たに補助金対象となった蓄電池6製品、最大の蓄電容量を誇る製品も

経済産業省による据え置き型リチウムイオン蓄電池の補助対象に、3社の6製品が加わった。補助対象製品としては蓄電容量も定格出力も最大となる製品や、停電時も電気を途切れさせることなく供給し続ける製品など、際立った特徴がある製品が対象に加わった。


太陽光パネルと蓄電池に「見える化」を組み合わせ、京セラが住宅向けシステムを発表

太陽光パネルに蓄電池を組み合わせ、電気料金低減やピークカットなどの効果を狙ったシステムが登場し始めている。京セラは発電量や電力使用量を「見える化」するシステムと組み合わせ、独自色を打ち出す。


【スマートグリッド展2012】電気自動車は住宅の一部となっていく、応用例を各社が出展

スマートグリッド展2012では、電気自動車の電力を家庭で利用するシステムなど、電気自動車を住宅の一部として活用する取り組みの展示が目立った。ニチコン、三菱電機、トヨタ自動車の3社の展示内容を紹介する。


キーワード解説「再生可能エネルギー」

固定価格買取制度が始まり、「再生可能エネルギー」という言葉が世間で話題になることがかなり多くなった。しかし、再生可能エネルギーという言葉がどんなものを定義しているのかを説明できる人は決して多くはないだろう。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.