無料で使えるBEMS、契約電力500kW未満のオフィスや学校にエネルギー管理

節電に効果のあるBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を無料で使えるサービスが始まった。契約電力が500kW未満のオフィスなどを対象にしたサービスで、電気料金の削減分をシェアする仕組みだ。コストをかけずにBEMSを使った節電対策が可能になる。

» 2012年10月22日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 オリックスが東京電力の管内で開始した「はっとわっと」と呼ぶサービスで、BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の導入から節電対策のサポートまでを無料で提供する。サービスの対象になるのは電力会社との契約電力が100kW以上500kW未満の法人に限られる。

 無料でサービスを利用できる代わりに、節電によって削減できた電気料金の一部をオリックスに報酬として支払う仕組みだ(図1)。いわゆる成果報酬型のサービスで、電気料金の削減額に対して20〜80%がオリックスの報酬になる。報酬率の算出方法は明らかにされておらず、電力の使用状況などによって契約ごとに決めるものとみられる。契約期間は5年が基本になる。

図1 成果報酬型によるコスト削減イメージ。出典:オリックス

 電力会社から500kW未満の供給を受けている場合には、電気料金のうち基本料金は毎月の使用量のピークによって決まる。BEMSを活用してピークを抑え、さらに月間の使用量も削減することで、電気料金を確実に引き下げることが可能になる。

 ただしBEMSはオフィスビルなどの節電対策として効果があるものの、導入コストや運用の手間などから、特に中小の利用者の間で普及が進んでいない。国が総額300億円をかけた補助金制度を4月から開始したが、期待されたほど利用件数が伸びていないのが現状だ。

 オリックスのサービスは国の補助金を利用して提供するもので、導入コストの2分の1か3分の1が補助金でカバーされる。現時点で補助金を適用したサービスを実施できる「アグリゲータ」は23社あるが、無料で提供しているのはオリックスだけである。

 この無料のBEMSの導入件数がどのくらい増えるかが注目される。今後オリックスは東京電力以外の地域にも順次サービスを拡大していく計画だ。

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