供給力を引き下げた関西と九州、先週前半に需給率が急上昇電力供給サービス

12月に入って全国各地で電力の需給状況が厳しさを増している。気温の低下によって需給率が95%を超える地域が続出した。暖房による需要の増加が要因だが、一方で関西と九州では供給力を落としたことによって需給率が大幅に高くなる事態を招いている。

» 2012年12月17日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 12月の第2週は前半の10日(月)と11日(火)に、中部と九州で相次いで需給率が97%を超える危険な状態が発生した。10日の17時台に中部で97.5%、11日の18時台には九州で97.1%に達した。

 いずれのケースでも気温の低下によって需要が増加したとはいえ、供給力を十分に確保していなかったことが大きな要因だ。実際に中部電力は翌11日には供給力を45万kW、九州電力も12日に37万kWを追加して、需給率を引き下げている。

 火力発電の増加に伴う燃料費の負担増を抑制するためか、本来の供給力を落として需要に対応する動きが電力会社の間に見られる。12月の第1週(3日〜7日)と第2週(10日〜14日)の需給状況を比較してみると、関西電力と九州電力の2社は需要が増加しているにもかかわらず供給力を落としていることがわかる(図1)。

図1 12月第1週と第2週の電力需給状況

 関西電力は第2週の需要のピークが第1週から137万kWも増えている中で、供給力を60万kWも減らした。その結果、10日には需給率が94.3%に急上昇している。第1週の需給率が90%を大きく下回る状況だったことから、供給力の最適化を図ったものと考えられる。

 これに対して九州電力は供給力に余裕がない状況でギリギリの調整を続けている様子がうかがえる。もともと九州電力は12月の最大供給電力を1432万kWと見込んでいたが、第1週には早くも予測を50万kWも上回る供給力に引き上げざるを得なくなってしまった。第2週に入って供給力を下げた矢先に需要が増加して、11日に需給率が97%を突破する事態を招いた。

 このほか中部電力でも、すでに当初の予測に近いレベルまで供給力を高めている。当面は需要が大きく増えなければ対応できるが、10日を上回る需要が発生した場合には、再び需給率が危険な状態になる可能性がある。引き続き全国各地で17時〜19時の節電対策が必要だ。

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