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» 2013年01月18日 15時00分 UPDATE

キーワード解説:日本の電力の大部分を作り出している「火力発電」

ほとんどの原子力発電所が停止している現在の日本では、大部分の電力を火力発電で作っている。再生可能エネルギーを利用して発電する例が急増しているが、まだまだ発電能力は低い。今後も日本の主電源として活躍する「火力発電」について解説する。

[笹田仁,スマートジャパン]

 やかんでお湯をわかすと、水が沸騰して注ぎ口から勢い良く水蒸気が吹き出し始める。簡単に言うと、火力発電はやかんの注ぎ口から水蒸気が吹き出す力を利用して発電する方式だ。

 図1は火力発電機の一般的な構造を示した図だ。燃料をボイラーで燃焼させて水を加熱して水蒸気を作る。この水には高い圧力がかかっており、沸点が上がっている。高圧がかかっている水を蒸発させると高温、高圧の水蒸気ができる。圧力が高いということは、先に出したやかんに例えると、吹き出す力が強いということだ。

Fossil_Fuel_Power_Station_1.jpg 図1 火力発電機の一般的な構造。出典:東芝

 その後水蒸気は蒸気タービンに届く。タービンはファンのようなもので、空気などの圧力を受けると回転する。高温高圧の水蒸気はタービンを強い力で回転させる。タービンが回ると、タービンにつながっている発電機が作動し、電力を作る。

 タービンを通過した水蒸気は復水器に回る。復水器では冷却水を使って水蒸気を冷やして水に戻し、再びボイラーに送り込む。このように水が水蒸気になったり水に戻ったりしながらタービンを回す過程を繰り返す。

 この方式を採用しているのは燃料が石油あるいは石炭の発電機だ。しかし、石油を燃料とする発電機はオイルショック以来新造が止まっており、数は減る一方。現在ではこの方式を採用している発電機は石炭を燃料とする発電機がほとんどだ。

 一方、天然ガスを燃料とする発電機は水を使わないことがほとんど。図2は天然ガス発電機の簡単な構造図だ。左側から外気を吸い込んで圧縮機で圧縮し、燃焼室に送り込む。燃焼室では燃料である天然ガスを放出して圧縮した空気と一緒に燃焼させる。燃焼させた結果、高温で体積が大きくなった燃焼ガスが発生する。このガスが流れる勢いを利用してタービンを回して発電する。

Fossil_Fuel_Power_Station_2.jpg 図2 天然ガス発電機の一般的な構造。出典:四国電力

 天然ガスを利用した発電機は、さらに拡張して発電能力を大きく高めることができる。それが「コンバインド・サイクル」という方式だ(図3)。

Fossil_Fuel_Power_Station_3.jpg 図3 コンバインドサイクルでは天然ガス発電機が排出した燃焼ガスで水蒸気を作ってもう1つのタービンを回転させる。出典:四国電力

 コンバインド・サイクルでは、天然ガス発電機でガスタービンを回した燃焼ガスを利用する。このガスはガスタービンを回した後も十分な熱を持っているので、この熱を利用して水を加熱して水蒸気を作って、水蒸気でもう1つのタービンを回すのだ。

 火力発電は古くからある発電方式であり、人間にとって比較的扱いやすいものだ。ただし大きな欠点がある、CO2、SOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)といった、地球環境に悪影響を与えるガスをかなり発生させるという点だ。

 ガスタービンを利用する発電機では、このようなガスの排出量は少ないが、石炭を利用する発電機ではかなりの量を排出する。そのまま外気に放出するわけにはいかないので、放出する前に、SOxやNOxを取り除く機械を使ってほとんどを取り除き、外気に排出しないようにしている。

 CO2排出対策の開発も進んでいる。石炭をガス化してガスタービンで発電させる方式(関連記事「火力発電のコストは下げられる、石炭で高効率な設備が商用運転へ」を参照)を利用したり、CO2を地中深くに排出してそのまま埋める方法などがある。

 有害ガス対策だけでなく、発電効率の向上に向けた研究も進んでおり、今後はより少ない燃料で、より大きな電力を取り出せるようになっていくだろう。

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