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» 2013年03月22日 13時00分 UPDATE

太陽光発電の事業化を成功させるために(3):発電システムの運用に欠かせないポイント(2):機器の選定、諸手続き (1/3)

前回ご紹介した太陽光発電システムの企画・立案、および設計に関するポイントに続き、今回は機器の選定と諸手続きに関して、プロセスごとに欠かせないポイントをわかりやすく解説したい。

[中里啓/UL Japan,スマートジャパン]

第1回:「太陽光発電の最新動向」

第2回:「発電システムの運用に欠かせないポイント(1)企画・立案、設計」

1.太陽光発電モジュールの選定

 太陽光発電モジュールは太陽光を電気(直流)に変換する部品である。現在広く使用されている太陽光発電モジュールのタイプは、大きく分けるとシリコンを材料とする結晶系と非結晶系、シリコン以外の材料からなる化合物系の3種類に分類される。日本市場では、結晶系に分類される単結晶シリコン、多結晶シリコン、および化合物系に分類されるCIGS系の3種類で90%以上のシェアを占めている。

 太陽光発電モジュールの性能は変換効率で表されることが多い。変換効率とは太陽光発電モジュールに入射した太陽光のエネルギーのうち電気エネルギーに変換した割合を表す数値で、下記の計算式で求められる。

ul_3_1.jpg 図1 太陽光エネルギーから電気エネルギーへの変換効率。出典:太陽光発電協会

 太陽光発電モジュールの変換効率は単結晶シリコンで15〜19%、多結晶シリコンで13〜16%、CIGS系で12〜14%である。変換効率が高い太陽光発電モジュールの方が、同じ面積で多く発電できる。特に住宅用では屋根の面積に制約があることから、高効率の太陽光発電モジュールが好まれる。これに対して産業用では、単位面積あたりのコストとの兼ね合いで、最もコストメリットがある太陽光発電モジュールが選択されている。

 ただし変換効率は設置環境の温度によって大きく変動することに注意が必要である。変換効率が低くなると、以下の計算式のうち[C]の出力が小さくなるため、売電収入も少なくなってしまう。

 [A]売電収入(円)=[B]買取価格(円/kWh)×[C]出力(kW)×[D]時間(h)×[E]設備利用率(%)

 さらに採用する太陽光発電モジュールのメーカーの製品が、どの程度の期間使用され続けているかも確認する必要がある。メーカーが同じであっても、過去の生産モデルと現在のモデルが、あらゆる面で同じ品質ということはないが、20年という買取期間を考えると、相応の設置実績と履歴があることが望ましい。

 太陽光発電システムの主要な構成要素の中で、パワーコンディショナー (直流交流交換装置)は10年程度の保証期間が設けられているが、太陽光発電 モジュールの保証期間は20年以上がほとんどである。20年という買取期間を考えた時には、太陽光発電モジュールのみが買取期間中にわたり、交換なしで使用し続けられることを期待できる部品である。

 しかし、太陽光発電モジュールは発電している時に音を出したりするわけではないので、故障や不具合がわかりにくい。出力不良などの故障の際には、メーカー保証を利用して交換するのが一般的だが、ここに問題がある。

 通常、メーカーの保証は公称最大出力(JIS C8918で規定するAM1.5、放射照度1,000W/平方メートル、モジュール温度25℃、という条件下)で測定した場合の経年による低下の割合に対して設定していることが多い。だが、いったん設置した太陽光発電モジュールを再度そうした条件で測定することは困難である。

 公称最大出力は屋内の試験所の環境で測定するものである。正確に測定するのであれば、太陽光発電モジュールを取り外して試験所で測定する作業が必要になるのだが、いったん取り外してしまうと、メーカー保証の対象外になるという矛盾がある。

 しかも公称最大出力の表示は−10%まで許容されているので、仮に1枚あたりの公称最大出力が250Wの太陽光発電モジュールで実際には225Wしか出力できないものでも、250Wの表示が可能である。こうした太陽光発電モジュールが多数含まれていると、当初から10%程度の出力のハンデを負うことになり、特にメガソーラークラスの採算性を検討する上では注意が必要である。

 加えて、設置場所の環境条件に応じた対策(塩害対策など)を施した太陽光発電モジュールを選定することも重要である。

 このあたりはEPC (設計・調達・建設)業者とも協議の上、具体的な出力低下の測定方法などを確認しておくことをおすすめする。

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