運用管理能力が重要な地熱発電、既存の発電所の運用に加わる企業も自然エネルギー

地熱発電所が運転を開始した後に重要なのが、長期間、蒸気を安定的に発電部門に供給することだ。高い運用管理能力が求められる。蒸気設備の製造から、運用管理へと事業の幅を広げる企業も現れてきた。

» 2013年05月31日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 地熱発電の可能性が広がっている。環境省が2012年に国立公園内での地熱開発を部分的に認めたことが大きい。これによって20年近い停滞期にあった地熱開発が再び動き出した。日本はもともと地熱資源に恵まれており、24時間365日稼働可能な地熱発電の魅力は大きい。

 この流れを受けて地熱発電への取り組みを拡大する企業も現れ始めた。産業機械やエネルギー関連設備を手掛ける新日鉄住金エンジニアリングだ。同社は地熱蒸気設備をこれまでも他社に供給*1)していたが、新たに発電所の運用管理(O&M)事業にも乗り出す。運用管理事業だけで中長期的に年50億円の売上規模を目指すという。

*1) 同社は現在国内で稼働中の地熱発電所17カ所のうち、9カ所に蒸気生産設備と蒸気輸送パイプラインを納入している。

図1 大霧地熱発電所の位置

 2013年5月には、操業とメンテナンスのノウハウを得る目的で大霧地熱発電(図1)の蒸気供給操業会社である霧島地熱の株式の15%を取得した。今後は地熱発電による電力の買い取りや販売にも取り組むという。

 大霧地熱発電所は1996年から運転を開始した地熱発電所。出力は3万kW(30MW)。図2にある発電部門を九州電力が、蒸気部門を霧島地熱が担当している。なお、霧島地熱の出資比率の85%は日鉄鉱業が占める。

図2 地熱発電の設備とシステムフロー。出典:新日鉄住金エンジニアリング

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