30年近く止まっていた小水力発電所、設備を一新して電力供給を再開自然エネルギー

神奈川県の箱根町で1954年に運転を開始した水力発電設備がある。地元の旅館が自家用に建設したものだが、1984年から30年近く停止したままの状態が続いていた。新たに発電設備を再生させて、最大出力190kWの小水力発電所として運転を再開した。

» 2013年08月09日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 再生した小水力発電所は、神奈川県の西部を流れる須雲川(すくもがわ)に建てられた「須雲川発電所」である(図1)。温泉で有名な箱根町にあり、もともと地元の旅館が自家用の発電設備として運営していた。

図1 「須雲川発電所」の所在地。出典:東京発電

 最初に運転を開始したのは59年前の1954年で、それから30年間にわたって稼働を続けたものの、1984年に運転を停止した。以後は箱根町が設備を所有していたが、東京電力グループの東京発電が受け継いで2013年2月から再生工事に着手した。

 老朽化した発電機と建物を一新して、6カ月後の8月7日に営業運転にこぎつけた(図2)。須雲川から取り込む毎秒0.58立方メートルの水流を使って、最大190kWの電力を供給することができる。発電に利用する水流の落差は約40メートルある。

図2 再生した水車発電機と発電所建物。出典:東京発電

 年間の発電量は110万kWhを見込んでいて、一般家庭で300世帯分の電力使用量に相当する。東京発電は固定価格買取制度を利用して、親会社の東京電力に全量を販売する方針だ。出力が200kW未満の小水力発電による電力は1kWhあたり34円で買い取ることが決まっているため、年間に3700万円程度の収入になる。

 東京発電は東京電力グループの発電専門会社として1928年に設立された。関東・甲信越で69カ所の水力発電所を運営して、総出力18万kWの電力を東京電力に供給している。近年は自治体を中心に小水力発電の建設や企画・設計を請け負う事業にも力を入れている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.