沖縄電力のメニュー 「全国で一番高い企業向け料金」知らないと損する電気料金の仕組み(16)

日本の電力会社の中で沖縄電力は特殊な位置づけにある。火力を中心に主要な島ごとに発電所が配備されて、安定した供給体制を構築している。そのぶん電気料金は高く、企業向けは東京電力と最高の単価を争う。時間帯別や曜日別のメニューを活用すれば料金を引き下げることも可能だ。

» 2013年08月22日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 沖縄の電気料金を他の地域と比べてみると、家庭・商店向けの「従量電灯」は一般家庭の標準モデルで最高額になっている。ただし北海道電力が9月から値上げを実施すれば、沖縄の料金をわずかに上回る。

 一方の企業向けでは規模が大きい「特別高圧」の単価が全国で最高の水準だ。特に夏季(7月〜9月)の単価が高くて1kWhあたり15.29円にもなる(図1)。第2位の東京よりも0.43円高く、最も安い北陸と比べると1.6倍の高さだ。夏季と「その他季」(10月〜6月)の金額の差が大きいのも沖縄らしい特徴と言える。

図1 用途別の標準的なメニューと料金

 小規模な工場・店舗向けの「低圧電力」だけは平均的なレベルに収まっていて、夏季の単価でも東京・九州・関西に次いで4番目になる。低圧電力の単価が特別高圧の単価とほとんど変わらないのは沖縄だけである。特別高圧を利用する企業は割引メニューを有効に活用することを考えたい状況だ。

時間帯別はピーク以外の単価も高い

 特別高圧と高圧大口(契約電力500kW以上)に向けて、主な割引メニューは3種類ある。高圧大口の標準メニューである「業務用電力」と単価の違いを比較してみる。

 1つ目の割引メニューは時間帯によって単価を変えた「業務用季節別時間帯別電力」である(図2)。ピーク時間(夏季の13時〜16時)の単価が通常よりも35%高い代わりに、夜間(23時〜9時)が21〜28%程度安くなる。他の電力会社が提供している同様のメニューと違って、日曜日や祭日には終日で安い夜間料金が適用される。

図2 「業務用季節別時間帯別電力」の単価。出典:沖縄電力

 このメニューで注意すべき点は、昼間の時間帯が9時〜23時と長く、しかも単価が通常と比べて1割以上も高く設定されていることである。電力の使用量が夜間や休日に集中する業態でなければメリットを得にくい。

使用量の多い企業に2種類の割引メニュー

 土曜日を含めて週末の使用量が増える企業には、「業務用ウィークエンド電力」のほうが適している。季節に関係なく週末の単価が通常よりも20%程度安くて、平日でも5〜6%は安い。そのぶん基本料金が通常の1kWあたり1664.25円から2100円へ大幅に上がる(図3)。

図3 「業務用ウィークエンド電力」の単価。出典:沖縄電力

 週末に限らず平日でも電力の使用量が多い企業にとっては検討する価値があるだろう。同様に使用量の多い利用者に向けたメニューとして「業務用電力II型」もある。時間帯や曜日に関係なく、電力量料金の単価が安くなる。標準メニューの「業務用電力」よりも10%安く設定されている。基本料金は「業務用ウィークエンド電力」と同じで高くなる(図4)。

図4 「業務用電力II型」の単価。出典:沖縄電力

 沖縄では高圧に比べて単価が低めの低圧電力には、標準メニューしかない。家庭・商店向けには時間帯別や夜間に限定した割引メニューがある。

 電気料金を安くするための基本的な対策は、可能な限りの節電を実施することである。そのうえで最適なメニューを選びたい。

連載(15):「九州電力のメニュー」

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