LED照明が晴れ晴れしく、あべのハルカスで50%の省エネを実現LED照明

シャープは3種類のLED照明を近畿日本鉄道の超高層ビル「あべのハルカス」に納入したと発表した。オフィスゾーンに設置する約1万台である。50%の省エネを実現するにもかかわらず、調光・調色機能を備える。

» 2013年10月24日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 阿倍野区とあべのハルカスの位置

 オフィスの照明を蛍光灯からLED照明に変えるとどの程度、消費電力を引き下げられるのだろうか。「蛍光灯と比較すると約50%の省エネとなる」(シャープ)。

 同社は2013年10月、大阪市阿倍野区に建設中である超高層複合ビル「あべのハルカス」のオフィスフロアに約1万台のLED照明を納入したと発表した(図1、図2)。約50%という発言は、この事例の場合である。

 納入したのは消費電力低減だけに特化した製品ではないという。「数段階の調光・調色機能を備えており、オフィスでは寒色系、応接室では暖色系に照らすといった使い方ができる」(シャープ)。

図2 オフィスフロアに設置された天井用グリッドスクエア照明。出典:シャープ

 2013年2月以降、順次運用が始まるLED照明は業務用の特注品だ。大きく3種類に分かれる。天井用グリッドスクエア照明が約9000台(図2)、廊下照明が約1000台、ロビー照明が約400台である。「照明の総数ではJR南新宿ビルに納入した台数の方が多いものの、天井用グリッドスクエア照明では、最大の納入規模となる」(同社)。

 天井用グリッドスクエア照明の光は最大3800lm(ルーメン)。個別制御の他、シャープマニュファクチャリングシステムが開発した照明制御システムによって、調光・調色、電源オンオフを集中管理できる。

あべのハルカスの省エネとは

 あべのハルカスは、JR西日本の天王寺駅の南側、近鉄南大阪線の大阪阿部野橋駅に隣接する地下5階、地上60階の超高層ビル(図3)。300mという高さは、横浜ランドマークタワーよりも4m高く、日本一だ。

図3 あべのハルカスの外観。出典:近畿日本鉄道

 2010年1月に着工し、2013年6月には低層階に百貨店「あべのハルカス近鉄本店」が開業している。ビル全体の完成は2014年3月。今回シャープのLED照明が運用されるオフィスフロアは17階、18階、21〜36階だ(図4)。オフィスフロアの1フロア当たりの面積は約2万4000m2であり、府内でも有数であるという。

 ビル全体でエネルギーの消費量を管理し、オフィスゾーンでも見える化を実現する他、照度をセンサーで測定し、照明器具の出力を自動調整することをうたっている。

 この他、オフィスの窓からの熱の出入りをなるべく防ぐ仕組みを取り入れている。窓は中空の構造を取り、室内の空気を下部から取り入れて上部から排出する。これによりガラス面の熱を除去する。中空部には高遮熱ロールスクリーンを展開できる。さらに外部からの熱の侵入を防ぐため、外面のフロート合わせガラスと、内面の低放射ガラス(Low-Eガラス)を組み合わせた。

図4 あべのハルカスのフロア構成。出典:近畿日本鉄道

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