「i-MiEV」を90万円値下げし、空調を改善した三菱自動車電気自動車

三菱自動車が乗用車タイプの「i-MiEV」と商用車タイプの「MINICAB-MiEV VAN」の価格を引き下げ、装備を改善した。i-MiEVの最大の改善点は省電力型のヒートポンプエアコンを全車に標準搭載したことだ。暖房を利用しても走行距離が減りにくい。軽自動車としては初めての取り組みだという。

» 2013年11月15日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 三菱自動車は2013年11月14日、電気自動車「i-MiEV」と、軽商用電気自動車「MINICAB-MiEV VAN」をそれぞれ改良したと発表、販売を開始した。

 i-MiEVはこれまで、2つのグレードに分かれていた。低価格なMグレードと走行距離の長いGグレードだ。今回はグレード自体を変更して、Gグレードを廃止し、Xグレードを追加した(図1)。XグレードはGグレードと比較して、1充電当たりの走行距離を変えず、価格を約90万円引き下げながら、空調を中心とした装備を改善している。これが最大の特徴だ。「装備を一部見直すことで価格を引き下げた。装備をそぎ落としたのではなく、電装品を中心に部品単価を下げることで実現した。なお、Xグレードに採用したリチウムイオン蓄電池は従来のGグレードと同じものだ」(三菱自動車)。

 Xグレードはエコカー減税と2013年度のクリーンエネルギー自動車等導入対策費補助金(上限85万円)を適用することで、約205万円から購入可能だ。今回、Mグレードも価格を約19万円引き下げており、同様に約172万円から購入できる。

図1 i-MiEVに追加したXグレードの車両。出典:三菱自動車

省電力型エアコンを採用

 Gグレードはリチウムイオン蓄電池を16.0kWh搭載し、JC08モードで1充電当たり180km走行が可能だ。これはXグレードでも変わらない。Gグレードと異なるのは省電力型のヒートポンプエアコンをMグレードも含む全車に標準装備したことだ。軽自動車としては初めての取り組みだという。「電気自動車はエアコンを利用すると走行距離が短くなる性質がある。採用したエアコンは暖房使用時の消費電力を抑制できることが特徴だ。エアコンの消費電力の値は非公表だが、従来のエアコンと比較して消費電力を2桁%削減できた」(三菱自動車)。

 充電器周りにも改善も加えた。従来Gグレードのみが備えていた急速充電器をXグレード、Mグレードとも標準で持たせた。加えて、Mグレードも含めて、普通充電リッド(ふた)内にLEDランプを配置し、夜間でも充電作業を進めやすくした。「2012年12月に発売したアウトランダーPHEVにはLEDランプが備わっていたが、i-MiEVとしては初の標準装備だ」(同社)。

 快適性も高めた。従来のGグレードのみがメーカーオプションとして選択できた「MiEVリモートシステム」をXグレードとMグレードどちらも選択できるように改善した。ユーザーの要望に応じて工場出荷時に組み込むシステムであり、タイマー充電やプレ空調機能を利用できるようになる。

 Xグレードについては新たにLEDヘッドランプを採用し、省電力を維持しながら、明るさを20%向上したとする。

商用車は最大37万円台の値下げ

 三菱自動車が販売する電気自動車は乗用車のi-MiEV、商用車のMINICAB-MiEV VAN、軽トラックのMINICAB-MiEV TRUCK、プラグインハイブリッド車のアウトランダーPHEVに分かれる。今回は、i-MiEVと同時にMINICAB-MiEV VANの価格引き下げと一部装備の改善を行った(図2)。

 MINICAB-MiEV VANはリチウムイオン蓄電池の容量や座席の数によって、2つのグレードが合計5つに分かれている。容量10.5kWhの蓄電池を搭載し、2シーターの車両の場合、エコカー減税と補助金を適用することで約156万円から入手可能になった。価格改定前と比較すると、車両本体価格ベースで23万4900円、補助金適用時に約17万円安価になった。

 装備の改善はシートヒーターの範囲を従来の座面から背面に拡大したことだ。これは今回のi-MiEV(Mグレード、Xグレード)と同時に改善した点である。

図2 MINICAB-MiEV VAN「CD10.5kWh」。出典:三菱自動車

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