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» 2013年12月26日 15時00分 UPDATE

電力の基礎知識/改訂版(3):電力の供給源は「発電」と「蓄電」

これまで電力会社に依存してきた日本の電力システムが大きく変わり始めている。電力の供給源が急速に増えて、その多くは太陽光発電である。ただし天気の良い日中にしか電力を作ることができず、安定供給に問題がある。そうした弱点を補うのが蓄電池で、災害時のバックアップとしても有効だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 発電した電力は、すべて使い切らなくてはいけない。電力は貯蔵できない、というのが従来の常識だった。電力会社の基本方針のひとつに「同時同量の原則」がある。地域内の電力の需要と供給量を常に一致させておかないと、電力が不安定になって、停電につながる可能性があるからだ。

 ところが、最近になって太陽光や風力を利用した発電設備が急速に増えて、同時同量の原則が揺らぎ始めている。自然の力による再生可能エネルギーは、気象条件によって供給できる電力が大きく変動してしまう。一方で火力や原子力は供給力が安定している。電力会社が火力と原子力に依存するのは、この理由が大きい(図1)。

energymix_denjiren.jpg 図1 電力会社10社の年間発電量と電源構成比。出典:電気事業連合会

 ただし発電した電力を蓄電池に貯蔵しておけば、必要な時に電力を取り出すことができて、需要と供給のバランスを保つことが可能になる。電力量に見合った蓄電池を用意することによって、再生可能エネルギーが増加しても安定した電力を供給し続けることができる。

最大の課題は発電と蓄電のコスト

 このところ人気のスマートハウスでは、太陽光発電と蓄電池をセットで設置するケースが増えてきた。気象条件に合わせて昼と夜の電力を効率的に使い分けてピークを平準化し、電気料金を安くできるメリットがある(図2)。

panahome.jpg 図2 スマートハウスの標準的な構成。出典:パナホーム

 これと同じように、日本全国で夜間の電力を多数の蓄電池に貯蔵して昼間に使うことができれば、夏の電力不足を解消することができる。冬の北海道でも夕方の電力不足を回避することが容易になる。再生可能エネルギーの問題に限らず、電力の需給バランスを広い範囲で最適化できるわけだ。

 残る大きな課題は蓄電池の価格が高いことである。日本の電力不足を解消できるほどの量を貯蔵できるようにするためには、膨大なコストがかかってしまう。現在のところ蓄電池の価格は、家庭向けの低価格の製品でも容量1kWhあたり20万円以上もする。しかも寿命は5年〜10年程度と言われている。今後の量産効果と技術革新によるコストダウンに期待したいところだ。

 一方で太陽光をはじめとする再生エネルギーによる発電方法も、従来の火力などに比べてコストが大幅に高い(図3)。固定価格買取制度における太陽光発電の買取価格は1kWhあたり36〜38円(2013年度)である。家庭向けの電気料金の単価の約2倍に設定されているのは発電コストが高いからだ。

powercost.jpg 図3 電源別の発電コストの推移(2004年、2010年、2030年の想定)。出典:資源エネルギー庁

 今後いかに発電と蓄電のコストを下げることができるか。電力会社をはじめとする事業者にとっても、われわれ利用者にとっても、極めて重要な問題である。最近は電機メーカーに加えて、自動車メーカーや化学メーカーなども発電・蓄電の技術開発に資金を投入し始めた。日本の今後の成長産業としても大きな期待がかけられている。

連載第1回:電力を表す基本単位「kW」と「kWh」

連載第2回:世界中で使い分けている「直流」と「交流」

連載第4回:すべての利用者に電力を届ける「送電」と「配電」

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