太陽光発電設備の4割以上、国の認定から10カ月以上も未着手法制度・規制

2012年度に固定価格買取制度の認定を受けた中規模(出力400kW)以上の太陽光発電設備のうち、4割以上が認定を受けてから10カ月以上を経過しても建設が始まっていない。設置する場所や設備の仕様が確定していないケースのほかに、建設を断念したものが1割近くにのぼっている。

» 2014年02月18日 17時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 資源エネルギー庁が4699件の認定設備について事業者に報告を求めた結果で明らかになった。2012年度に固定価格買取制度の認定を受けた太陽光発電設備のうち、出力が400kW以上の中・大規模の案件を調査した結果、認定から10カ月以上を経過した2014年1月末の時点で運転を開始済みの設備は1049件(22%)だった(図1)。

 すでに設置する場所と設備の仕様が両方とも決まっているものは1588件(34%)で、運転開始済みと合わせて全体の56%にとどまっている。場所と設備のどちらか一方が決まっている案件は784件(17%)、どちらも決まっていない案件は758件(16%)にのぼった。

 このほか資源エネルギー庁に対する報告書の提出を怠ったものが101件(2%、書類の不備を含む)、認定を受けたにもかかわらず建設を断念していたケースが419件(9%)もあった。

図1 2012年度に認定された太陽光発電設備の運転状況(出力400kW以上、2014年1月末時点)。出典:資源エネルギー庁

 場所と設備のどちらも未決定の案件のうち、電力会社と接続協議を継続中の場合などを除く571件と、報告書が未提出の101件に関しては、2014年3月をめどに資源エネルギー庁が聴聞を実施する予定だ。それまでに場所と設備が決まっていない場合には認定を取り消す。

 さらに場所と設備のどちらかだけが決まっている案件784件と、接続協議中などが理由になっている未決定の案件187件に関しても、2014年8月末までに決定できないものは同様に聴聞を実施して認定を取り消す。すでに建設を断念したケースを含めると、最悪の場合には認定設備の4割以上が固定価格買取制度の対象から外れることになる。

 発電規模で見ると、認定を受けた1332万kWのうち最大828万kWが取り消しになる可能性がある。2012年度に非住宅用の太陽光発電設備(出力10kW以上)で認定を受けたものは合計1868万kWにのぼるが、そのうちの44%に該当する多さだ。こうした状況が早期に改善されなければ、今後は申請条件を厳しくするなどの措置を検討する必要が出てくる。

 固定価格買取制度では、国から発電設備の認定を受けることに加えて、電力会社に接続契約を申し込むことが義務づけられている。この2つの手続きを完了した時点で買取価格が決まるため、2013年度から買取価格が下がった太陽光発電に対しては、2012年度末までに駆け込みの申請が大量に発生した。

 これから2013年度末に向けて同様の状況は起こりかねない。資源エネルギー庁は2013年度の申請書類を遅くとも2月28日までに提出するように求めている。

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