再エネ接続を保留、九州に続いて北海道・東北・四国も電力供給サービス(2/2 ページ)

» 2014年09月30日 16時20分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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需要以上の発電量を恐れる

 電力各社が一斉に動き始めたのは、再生可能エネルギー、特に太陽光発電による発電量の急増を恐れたためだ。北海道電力は最小需要の約270万kWに対して、設備認定可能量が約300万kW(2014年5月末)に達したことを理由に挙げている。東北電力は、太陽光発電の設備認定量が1000万kWを超え、200万kWまで受付可能としている風力発電と合わせると1200万kW以上。これは軽負荷期の電力需要量970万kWを上回るとした。四国電力は軽負荷期の約250万kWに対して、250万kW(太陽光190万kW、風力の予想最大接続量60万kW)だ。

 ただし、軽負荷期とあるように、実際に対応が必要な期間はそれほど多くはないと考えられる。例えば、四国電力は冷暖房需要がない春や秋、それも休日の12時前後の対応が厳しいとした。

 電力需要が大きい時期は火力発電の出力が大きく、再生可能エネルギー発電の出力を吸収しやすい。ところがもともと電力需要が少ない季節では調整に利用できる「下げ代」が少ない(図4)。火力発電以外の下げ代が必要だ。

図4 軽負荷期に太陽光発電がフル稼働した場合の問題点 出典:東北電力

 「火力発電の出力調整以外に、他の電力各社との間に引いた連系線や、日中の揚水発電の活用を考えている」(四国電力)。北海道電力と東北電力、東京電力は既に2011年9月の時点で「風力発電導入拡大に向けた実証実験」(関連記事)を開始すると発表しており、東京電力など調整力が大きな電力会社を軸とした取り組みが有効だと考えられていることが分かる*2)

*2) 当初の計画では2016年から実証実験を開始し、数年間継続するとしていた。「今回の発表はこの調整能力を踏まえており、計画に変更はない」(東北電力)。

経済産業省の対応がようやく始まる

 このような事態が起こりうることは予想されていた。再生可能エネルギーを大量導入してきた諸国は、注意深く導入量を調整しており、破綻が起きないように対策を講じている(関連記事)。

 今回、3社が一斉に対策を発表したことには理由がある。同日、経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会が第4回会合を開き、北海道電力と東北電力、四国電力、九州電力、沖縄電力が、再生可能エネルギー導入に向けた対応と課題について報告した。

系統ワーキンググループに関する続報:
太陽光の新規買取はどうなる、政府調査会の議論が明らかに


 会合では新たに「系統ワーキンググループ」を設置することも発表された。ワーキンググループの検討内容は2つある。接続可能量の検証と接続可能量の拡大だ。「太陽光発電の出力は常に変化しており、設備出力の合計量が日中の需要量を超えたからといって直ちに問題になるものではない」(四国電力)。そこで接続可能量の検討では、出力変動と、多数の発電所の出力増減が互いに打ち消し合う平滑化効果について検証する。この他、需要調整がいつ困難になるのか、電力会社の調整電源がどのように活用できるのかを調べるという。接続可能量の拡大については、再生可能エネルギー発電設備の出力抑制や地域間連系線蓄電池などについて調べる。

 ワーキンググループは年内に3〜4回程度の議論を予定しているため、その期間、保留措置が続くと考えられる。

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