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» 2014年10月06日 13時00分 UPDATE

電力供給サービス:発送電分離までサポートするITシステム、日本でも発売

すでに小売自由化や発送電分離を実施している欧米各国で実績のあるITシステムが日本市場でも拡大する勢いだ。全世界で電力・ガスをはじめ2700社の公益事業会社に導入実績のあるドイツのSAPが日本向けにパッケージした新製品の提供を10月から開始した。

[石田雅也,スマートジャパン]

 SAPはドイツに本社があるIT(情報技術)システムの大手メーカーで、企業の基幹業務を支援するERP(Enterprise Resource Planning)と顧客管理のCRM(Customer Relationship Management)を強みに、エネルギー分野だけで全世界に2700社の導入実績がある。日本でも電力・ガス会社向けの機能を統合した「SAP for Utilities」を提供してきたが、それに加えて電力システム改革に対応する機能を集約した「モデルカンパニー」を展開する。

 「モデルカンパニー」は電力会社とガス会社の業務を上流の調達から下流の営業まで一貫してサポートすることを目指した製品だ(図1)。10月2日に提供を開始した第1弾の「リリース1.0」では、小売に必要な機能をそろえた。顧客との契約管理をはじめ、料金プランの提案や請求・支払管理まで実行する。あらかじめ各業務のプロセスの流れや実行内容などが定義されていて、短期間にシステムを構築できる点が特徴である。

sap1_sj.jpg 図1 電力・ガス会社の業務とITシステムの機能(画像をクリックすると拡大)。出典:SAPジャパン

 今後さらに発電や送配電に必要な機能を順次リリースする一方、人事や財務など管理部門向けの機能と組み合わせて、電力会社の発送電分離までITシステムで推進できるようにする計画だ。すでに欧米各国で実施している発送電分離では、管理部門を統合した持株会社の傘下で、発電・送配電・小売の各事業会社が独立に運営する体制になっている(図2)。

sap2_sj.jpg 図2 電力会社の発送電分離による組織体制の変化(画像をクリックすると拡大)。出典:SAPジャパン

 日本でも早ければ2018年に発送電分離を実施する予定で、10社の電力会社が持株会社と事業会社に分割される見込みだ。並行してガスの小売全面自由化が進み、電力に続いて2017年4月に実施する公算が大きい。ガス会社も発送電分離と同様にガス製造・導管・小売の3事業会社に分割される可能性がある。

 SAPのITシステムは英国で最大手のブリティッシュガスにも導入されていて、電力とガスを統合した事業展開を可能にしている。こうした先行する海外の導入事例をもとに、日本の新しい制度が決まり次第、対応する機能を順次「モデルカンパニー」に組み込んでいく方針だ。

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