フォルクスワーゲンが電気自動車、2モデルを2015年に電気自動車(2/2 ページ)

» 2014年10月16日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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e-Golfは加速がよい

 e-Golfは、第7世代の「Golf」をベースに電動化したEV。価格は未公表だ。「高価なEVという設定ではなく、普及ゾーンを狙いたい」(同社)。Golfシリーズの価格が200万円台後半から500万円前半であることを考えると、500万円を切る価格が期待できそうだ。

 5人乗りの4ドアハッチバック車であり、全長4265mm、全幅1800mm、全高1480mm(図3)。ホイールベースは2635mmであり、最小回転半径は5.2m。排気量1197ccのGolf TSI Trendlineと比較すると、車体重量が290kg重い(蓄電池の重量は318kg)。車高は20mm高くなっている。

図3 e-Golfの外観 出典:フォルクスワーゲン グループ ジャパン

 走行用のリチウムイオン蓄電池の容量は24.2kWh。264セル構成で、出力電圧は323V。e-up!同様、床下に蓄電池を配置している。

 JC08モードで1充電当たり215km走行できる。交流電力消費率は117Wh/km。車体重量が1530kgありながら、10.4秒で時速100kmに加速でき、最高速度は時速140km。三相交流モーターの最大出力は85kW。最大トルクは270Nm。

ドライバーが細かく電力を管理できる

 同社は蓄電池に充電した電力を節約しながら利用できるよう、3つの工夫を施した。3種類の走行モードと、5段階の回生ブレーキだ。走行モードや回生ブレーキをドライバーが明確に制御できる仕組みは他社のEVと比較しても優れている。さらにe-Golfには省エネタイプの空調設備を載せた。

 走行モードは「Normal」「ECO」「ECO+」という3種類がある(図4)。どちらのEVも始動時はNormalモードとなる。その後、ドライバーがECOやECO+を選択できる。ECOやECO+ではアクセルの反応がフラットになり、空調の動作を制限する。モーター出力と最高速度も絞る。これによって走行距離を稼ぐことができる。

図4 3種類の走行モードの違い 出典:フォルクスワーゲン グループ ジャパン

 回生ブレーキはシフトレバーで設定する(図5)。Dモードでは回生は働かない。D1、D2、D3モードでは回生ブレーキが次第に強くなる。Bモードではアクセルから足を話した瞬間から強く回生ブレーキが働く。エンジンブレーキが強く働いているような感覚だという。車体の運動エネルギーを電気エネルギーに変えて、電力消費を補う仕組みだ。

図5 回生ブレーキの動作 出典:フォルクスワーゲン グループ ジャパン

 e-Golfにはヒートポンプを用いた冬季用の暖房設備を搭載した。電力消費を抑えるためだ。「ドイツ本国のデータによれば、従来の暖房装置と比較して約36%エネルギーを節減できる」(同社)。

ドライバーにEV情報を伝える仕組み

 このような省電力機構が動作した結果、どのように走行距離が変換するのか、これを伝える装備が必要だ。

 e-up!では車両情報ディスプレイ「touch+more」にバッテリーの充放電情報をリアルタイムに表示する。ドライバーの運転状況を監視して、エコドライブに関するアドバイス機能「Think Blue.トレーニング」を役立てることも可能だ。

 e-Golfでは純正インフォテインメントシステム「Discover Pro」に電力消費やエネルギー回生をモニタリングする機能が組み込まれている(図6)。走行モードの設定により、到達可能エリアを現在地点から全方向にわたって表示、充電スポット地図表示機能と組み合わせることで、「電欠」を防ぐ。

 図6はドイツ本国仕様の画面。到達可能距離に関する情報を表示したところだ。

図6 Discover Proの画面イメージ 出典:フォルクスワーゲン グループ ジャパン

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