豪雪を乗り越えて完成、長野県の太陽光自然エネルギー

シャープは2014年10月、富士見ソーラーエナジーから委託を受けて開発、建設を進めてきた「シャープ信州富士見高原太陽光発電所」(長野県富士見町落合)が運転を開始したと発表した。出力8MW、想定年間発電量は約950万kWhと大きい。

» 2014年10月22日 11時50分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 長野県南部と富士見町に位置する発電所の位置

 シャープは2014年10月、富士見ソーラーエナジー*1)から委託を受けて開発、建設を進めてきた「シャープ信州富士見高原太陽光発電所」(長野県富士見町落合、図1)が運転を開始したと発表した。

 長野県は「しあわせ信州創造プラン」を策定、5カ年計画(2013〜2017年度)に基づいて再生可能エネルギーの比率を高めようとしている(関連記事)。

 今回の発電所は長野県の公募手続きを経て2012年6月にシャープが事業者として選定。2012年12月に着工。設計・調達・建設(EPC)と管理・運営(O&M)をシャープが担当した。

 工事中には予想外の事態も発生した。当初2014年3月に発電を開始する予定だったものの、2014年2月中旬に起こった豪雪後*2)、現場を確認した長野県の担当者によれば、建設中の設備に被害が生じたという。

 「富士見町の降雪に対しては、営業運転開始後も補強用の部材を追加する工事を予定している。管理・運営に当たってはその都度除雪作業も進めていく」(シャープ)。

 シャープの多結晶太陽電池モジュールを3万2820枚利用し、他社のパワーコンディショナー27台を設置。直流出力8MWを得る。想定年間発電量は約950万kWh。これは一般家庭約2600世帯の年間消費電力量に相当するという。固定価格買取制度(FIT)を利用して、20年間全量を売電する。買取価格は40円/kWh(税別)。

*1) シャープとオリックスによる共同出資会社。
*2) 長野地方気象台によれば、2月14日から15日にかけての記録的な大雪では各地で大きな被害が発生。大規模な交通障害、停電、家屋の損壊などが報告された。統計開始からの最大最深積雪を記録した地点が複数あった。

産業団地の空きを一気に埋める

 シャープ信州富士見高原太陽光発電所の外観は、メガソーラーとしては見慣れないデザインだ(図2)。これはJR中央本線沿いに立地する長野県営富士見高原産業団地の未分譲区画を賃借して作り上げたからだ。同産業団地の面積は29.1ha(ヘクタール)。そのうち19.6haが分譲区画だが、18.6haが未分譲区画として残っていた。

 太陽光発電所はこの未分譲区画のうち、約15ha(15万363m2)を用いた。「20年契約で土地を貸しており、15haの賃借料は年間3750万円である」(長野県産業労働部産業立地・経営支援課)。

 「今回の太陽光発電所は構内の土地の関係上、3つの太陽光発電所に分かれている」(シャープ)。シャープ信州富士見高原第一太陽光発電所(約6.55MW)、同第二太陽光発電所(約1.24MW)、同第三太陽光発電所(約0.25MW)である。

図2 シャープ信州富士見高原太陽光発電所の外観 出典:シャープ

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