独仏協力で世界記録、効率46%の太陽電池蓄電・発電機器(1/2 ページ)

フランスSoitecと同CEA-Leti、ドイツFraunhofer ISEは共同で、集光型太陽光発電に役立つ太陽電池セルの変換効率が46.0%に達したと発表した。Soitecは集光型太陽電池モジュール製品を既に量産しており、今回の技術を順次製品に展開する計画だ。

» 2014年12月03日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 変換効率46.0%という太陽電池セルの世界記録。フランスSoitecと同CEA-Leti、ドイツFraunhofer ISEが共同で2014年12月1日に発表した値だ(図1)。

 46.0%という記録は、フレネルレンズを用いて太陽光を508倍、集光した場合の変換効率。集光型太陽光発電(CPV)に利用される技術だ。集光型は快晴の比率が高く、乾燥した地域に適した太陽光発電の手法。15cm角程度の太陽電池セルを並べるシリコン太陽電池技術とは用途が異なる。

 集光型用の太陽電池セルは小さい。というよりも製造技術上、大型化できないためレンズなどと組み合わせて使う。図1のウエハーの直径は100mm。セル1つの寸法は3mm角以下であることが分かる。

図1 記録を達成した太陽電池セルを500個含む100mmウエハー 出典:Fraunhofer ISE/Photo Alexander Wekkeli

 集光型太陽電池セルの世界記録は、2013年9月に今回の3つの団体とドイツのHelmholtz Center Berlinが共同で発表した44.7%(297倍集光)。約1年で着実に効率を高めている。

 太陽電池セル開発担当バイス・プレジデントであるSoitecのJocelyne Wasselin氏によれば、今回の成果は変換効率50%を目指す技術開発の途中経過であり、近い将来50%の太陽電池セルを公開できるだろうという。今回開発した技術を既にフランス国内の生産ラインに組み込んでいるとした。

モジュールの量産も進む

 集光型太陽電池セルを用いた太陽電池モジュールの開発も進んでいる。Fraunhofer ISEは44.7%を記録した太陽電池セル52枚を、ドイツORAFOL Fresnel Opticsが製造したフレネルレンズと組み合わせた太陽電池モジュールを開発。

 2014年7月14日には集光型太陽電池モジュールの変換効率で、世界記録である36.7%(230倍集光)を達成したと発表している(図2)。製品化にまで1〜2年を要し、1kWhを発電するコストが8ユーロセント未満になるという(関連記事)。

 集光型はレンズが必要であるため、競争力に劣るように思える。実際にはシリコン太陽電池よりも特定の用途に強い技術だ。

 Soitecは量産可能になった集光型太陽電池セルを用いたモジュールの販売を既に進めている。同社の子会社であるSoitec Solar Developmentは、2014年10月、米San Diego Gas&Electricと米カリフォルニア州の発電所向けに交流出力150MW(8万3400基)の販売契約を結んだと発表した。確かに、快晴の比率が高く、乾燥した地域という条件に合っている。

図2 集光型太陽電池モジュールの外観 レンズの面積は1つ16cm2、下側にある白い「点」が1つの太陽電池セル(クリックで拡大) 出典:Fraunhofer ISE/ Photo: Alexander Wekkeli
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