東京都内で建設中の地上14階建ての高層マンションに、停電時の発電機能が付いた燃料電池「エネファーム」を導入する。住戸の廊下側に収納できるマンション向けの最新機種を、全254戸のうち51戸に設置する予定だ。停電時にエネファームが止まっていても電力を供給することができる。
東京湾岸に2016年2月に完成予定の分譲マンション「品川ベイサイド大規模プロジェクト(仮称)」に最新の「エネファーム」を導入するプランが決まった。
このマンションは地上14階建てで総戸数は254戸あるが、そのうち各階の南北両端にある51戸に設置する(図1)。
導入するエネファームは東京ガスが2014年10月に出荷を開始したマンション向けの製品で、建物内を上下に貫通しているパイプシャフトの中に設置する方式である(図2)。パイプシャフトはガス管や給水管を収納するためのスペースで、通常は住戸の玄関に近い廊下側に設けられている。
東京ガスのマンション向けエネファームは燃料電池ユニットや貯湯ユニットなどの機器をすべてパイプシャフトの内部に収納できる設計になっている。各機器の気密性を向上させたほか、耐震性と耐風性を高めてマンションの設置基準に準拠させた。
さらに自立起動用のユニットを併設することで停電時にも発電を継続できる。このユニットにはリチウムイオン蓄電池を内蔵している。停電時にエネファームが運転を停止している状態でも、蓄電池からの電力でエネファームを起動させて発電を開始することが可能だ(図3)。
エネファームと蓄電池を合わせて最大1.2kWの電力を供給することができる。1.2kWで電力を使用すると約2時間、エネファーム単体の発電能力0.7kW以内であれば最長で約4日間の使用が可能である。ただしエネファームを起動して発電を開始するまでに65分程度かかるため、その間は非常灯だけを点灯させる。エネファームが起動した後に電力を供給するコンセントも制限する必要がある。
東京ガスによると、停電時にエネファームが自立起動する製品を採用したマンションは日本で初めてになる。このマンションでは災害時の安全性を高めるために、重油を燃料に使う非常用の発電機も設置して、エレベータや給水ポンプ、共用部の照明などにも電力を供給できるようにする。
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