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» 2015年01月29日 13時00分 UPDATE

動き出す電力システム改革(29):電力市場の監視委員会が2015年内に発足、小売の競争と送配電の中立を図る

政府は電力システム改革が確実に機能するように市場の監視体制を強化する。新たに「電力市場監視委員会」を2015年内に発足させて、小売全面自由化と発送電分離に備える方針だ。事業者の情報収集や立入検査を実施して、ルールに違反している場合には業務改善勧告を出す権限も与える。

[石田雅也,スマートジャパン]

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 自由な競争が始まる電力市場を監視するために、政府は専門の委員会を2015年内に発足させる。証券市場にはインサイダー取引などを監視する「証券取引等監視委員会」があるが、それと同等以上の強い権限を持つ「電力市場監視委員会(仮称)」を経済産業大臣の直属の組織として設置する予定だ。

 この監視委員会の役割は主に2つある。1つは2016年4月に実施する小売全面自由化が確実に効果を発揮するように、小売事業者や卸市場における電力取引を監視する。もう1つは健全な競争に不可欠な送配電事業者の業務を監視して、厳格な規制を徹底することである(図1)。

kanshi2_sj.jpg 図1 「電力市場監視委員会(仮称)」の役割と権限。出典:資源エネルギー庁

 監視に必要な情報を事業者から徴収する権限を持つほか、電力会社の小売部門を含むすべての小売事業者を対象に監査や立入検査を実施する。その中で違反行為を見つけた場合には、事業者に対して業務改善勧告を出すこともできる。これは証券取引等監視委員会にもない強力な権限である。

 小売市場の競争状態を監視するために、事業者ごとの販売量や電力会社からのスイッチング件数、料金メニューや決算情報などを収集する(図2)。それをもとに自由化後の市場シェアの変化や地域差、顧客の流動性や料金水準などを分析して、健全な競争状態を作り出す。さらに定期的な監査や立入検査を通じて、需要家の利益を損ねるような不適切な行為が行われていないかもチェックする方針だ。

kanshi3_sj.jpg 図2 小売市場の競争状態を監視する項目(例)。出典:資源エネルギー庁

 その一方で電力会社の送配電部門が中立性を保って業務を実行しているかどうかも厳しく監視する。送配電事業者が業務のために取得した発電事業者や小売事業者からの情報を同じグループ内で利用していないか、特定の事業者を有利あるいは不利に扱っていないか、などが監視項目になる(図3)。ただし現時点では具体的な監視方法は決まっておらず、今後の検討課題である。

kanshi4_sj.jpg 図3 送配電部門の中立性を確保する規制(例)。出典:資源エネルギー庁

 電力市場監視委員会は5人の外部有識者で構成するほか、専属の事務局を設置して弁護士や公認会計士などを採用する予定だ。委員と事務局のスタッフには電気事業だけではなくて法律・経済・金融などの知見がある専門家を配置する。専門性を重視して5人の委員は非常勤で採用するが、常時2人以上が勤務する体制をとる。多くの事業者が信頼できるような中立的な組織を作ることが電力システム改革の成否を左右する。

第30回:「新電力が500社を突破、1年間で3倍に増える」

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