水素を作るステーション、福岡市に電気自動車

西部ガスは2016年3月から福岡市内で「東浜 水素ステーション(仮称)」の運用を開始する予定だ。特徴は都市ガスから水素を製造し、燃料電池車に充填するだけでなく、他の水素ステーションにも供給できること。

» 2015年02月02日 17時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 福岡市東区と水素ステーションの位置

 西部ガスは2015年1月29日、福岡市内に商用水素ステーションを建設すると発表した。2015年9月に着工、2016年3月に「東浜 水素ステーション(仮称)」(東区東浜)の運転を開始する予定だ(図1)。

 「水素の販売価格は燃料電池車を『満タン』にした場合に5000〜6000円になるように決める。1kg当たりに換算すると1000〜1200円だ」(西部ガス)。

 同ステーションの特徴は2つある。1つはステーション内で都市ガスから水素を製造すること。このような方式を「オンサイト方式」と呼ぶ。東浜 水素ステーションは九州初のオンサイト式商用水素ステーションになるのだという。水素の製造・貯蔵・販売を一手に引き受ける。

 もう1つの特徴は製造した水素を専用容器に詰め、水素製造設備を持たないオフサイト方式の水素ステーションに供給できることだ。

 同水素ステーションで都市ガスから水素を製造し、供給する流れを図2に示した。なお、同ステーションでは天然ガスやガソリンは扱わない。

 水素製造装置は都市ガスと水を800度で反応させ、水素と二酸化炭素を得る設備。圧縮機は製造した水素を約82MPa(820気圧)まで昇圧する装置。蓄圧器で水素を貯蔵し、ディスペンサー(1台)を利用して燃料電池車に水素を供給する。オフサイト式ステーションへは専用容器で水素を運ぶ。蓄圧器から払出ユニットを経由して20MPaの水素を充填する。

図2 水素を製造、貯蔵、供給する流れ 出典:西部ガス

 「一般にこの規模の水素ステーションを立ち上げるための建設費用は6億円程度であり、今回の水素ステーションも同程度だ。国から2014年度と同程度の基準で公布された場合、補助金の額は約2.8億円である」(西部ガス)。

 今回の水素ステーションは、西部ガスの福北工場用地内に立ち上げる*1)。福岡高速1号線の東浜ランプから至近距離の立地だ。水素ステーションの敷地面積は約1300m2

 ステーションの水素供給能力は1時間当たり300Nm3(0度1気圧換算)。燃料電池車1台当たり約3分で充填を完了できる。1時間当たりの供給可能台数は5〜6台。

*1) 同工場はこれまで海外から輸入した液化天然ガス(LNG、主成分はメタン)にLPG(液化石油ガス、主成分はプロパン)を混合し、熱量を調整後、タンクに貯蔵、都市ガスとして供給してきた。2014年11月に「ひびきLNG基地」(北九州市若松区、関連記事)の運用が始まり、今後、LNGの製造を同基地に集約する。福北工場の能力はほぼ供給に絞られる形だ。

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