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» 2015年02月18日 07時00分 UPDATE

電気自動車:設置コストが低い移動式ステーション、水素普及に役立つ

豊田通商と岩谷産業、大陽日酸の3社が「日本移動式水素ステーションサービス」を設立、2015年3月には東京都で最初のステーションを立ち上げる。定置式水素ステーションと比較して、必要な敷地面積や設置コスト、工期のいずれも優れるという。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 豊田通商と岩谷産業、大陽日酸の3社は共同で「日本移動式水素ステーションサービス」を2015年2月6日に設立した。3社が等分で出資した新会社の狙いは、燃料電池車(FCV)需要の高まりに応じて、ステーションを拡充すること。

 移動式水素ステーションは定置式と比較して3つの点で有利だ。設置コスト*1)が低いこと、土地の確保が容易であること、工期が短いことだ。「当社のパッケージ型水素ステーション『ハイドロ シャトル』(図1)の設置コストは2〜3億円。これは定置式の5億円と比較すると約2分の1だ」(大陽日酸)。

*1) 豊田通商によれば、2014年度の燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業の交付が決定しており、拠点ごとに1億8000万円の補助金を受ける(水素供給能力100Nm3以上300Nm3未満の小規模設備として)。

yh20150218moving_HS_450px.jpg 図1 パッケージ型水素ステーション「ハイドロ シャトル」を搭載したトラック 出典:大陽日酸

 移動式水素ステーションは平たんで、ある程度の広さがある土地であれば設置が可能だ。高圧ガス保安法における距離規制を守り、敷地境界や道路境界から8m以上離れていれば設置できる。このため必要な敷地面積は、定置式と比較して3割程度で済むという。

 「ハイドロ シャトルはトラックに乗せて運搬でき、水素ステーションとして利用する際、外部から電力や水、ガスの供給を受ける必要がない」(同社)*2)。つまり、特別な造成や配管工事などは不要だ。このため、建設工期でも有利になる。定置式の6割程度だ。

*2) トラックから降ろしてそのまま定置式水素ステーションとして利用することもできるという。なお、今回の事業ではトラックに乗せたまま利用する。

2015年3月から設置を開始、まず東京で

 3社の事業分担は以下の通り。豊田通商は新会社の事業運営管理。岩谷産業と大陽日酸は水素供給設備の製造と新会社への水素供給、現場管理を担う。この他、三井住友ファイナンス&リースのリースを活用することで、設備調達に係る資金を得る予定だ。

 現在、計画に挙がっている候補地は5カ所。第1号は千代田区三番町6に置く。2015年3月下旬に日本初の移動式水素ステーションとして営業を開始する計画だ。その後、大田区六郷と愛知県内の2カ所に順次設置する。「この3カ所については2015年6〜7月の営業開始を考えている。愛知県からも協力の申し出があったため、県庁西庁舎(名古屋市中区三の丸)の駐車場にも配置する予定だ」(豊田通商)。

 水素を燃料電池車まで供給する手法はこうだ。「当社や大陽日酸が原料の水素を製造、運搬容器(カードル)に圧縮水素として充填し、トレーラーなどで移動式水素ステーションまで運ぶ。その後、移動式水素ステーションが燃料電池車に水素を充填する」(岩谷産業)。

 岩谷産業、大陽日酸の2社が移動式水素ステーションを提供する。5カ所のうち、どの拠点でどちらの企業のステーションを利用するのかは未定である。

 水素の供給価格は未定。ただし目安はある。「当社は固定式水素ステーションで1kg当たり1000〜1100円という価格を検討している(関連記事)。移動式水素ステーションで供給する水素の価格も、この価格帯と近い水準にしたい」(豊田通商)。

 3社が共同で進める移動式水素ステーション。政府が目指す「2015年度内に100カ所程度を設置する」という目標の達成に役立つ事業だろう。

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