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» 2015年03月02日 09時00分 UPDATE

自然エネルギー:米国最大の送電事業者が風力や太陽光に備え、コンテナ型の蓄電システムで実証開始

米国の13州をカバーする最大手の送電事業者が日立製作所などと共同で、風力や太陽光による出力変動を蓄電池で制御する実証プロジェクトに取り組む。日立製作所が開発した長さ12メートルあるコンテナ型の蓄電システムを使って、今後2年間かけて有効性を検証する。

[石田雅也,スマートジャパン]

 米国の電力市場は世界最大で、電力の消費量は日本の4倍以上の規模がある。再生可能エネルギーの導入量も多く、風力は世界で2位、太陽光も3位だ。日本で問題になっているのと同様に、風力や太陽光の出力が天候によって変動するために、送電ネットワークを不安定にさせる可能性がある。送電ネットワークの運用事業者で最大手のPJMが、蓄電システムを使って出力変動に対応する実証プロジェクトを開始した。

 蓄電システムには日立製作所が開発したコンテナ型を導入した。長さが12メートルに及ぶコンテナの中に、1600本以上のリチウムイオン電池やパワーコンディショナーなどを搭載している(図1)。蓄電容量は450kWhで、最大1MW(メガワット)の電力を充放電できる。再生可能エネルギーによる電力の貯蔵システムとして日立製作所が2013年に開発した。

hitachi1_sj.jpg 図1 コンテナ型の蓄電システム「CrystEna」。出典:日立製作所

 日立製作所は技術パートナーの米ディマンシス・エナジー社と共同で、PJMが運用する送電ネットワークに適用する準備を進めてきた。ニュージャージ州で試運転を完了して、2015年2月から実証運用に入った。風力や太陽光の出力変動を蓄電システムで吸収するほか、電力の需要が少ない時に余剰電力を充電して需要の多い時間帯に放電する。実証プロジェクトは2年間を予定している。

 コンテナ型の蓄電システムは地上に設置するだけではなくて、トレーラに搭載して必要な場所に輸送することが可能だ(図2)。送電用の変電所のほかにも、大規模な風力発電所や太陽光発電所に設置して出力変動の抑制や余剰電力の蓄積に生かすことができる。日立製作所は実証プロジェクトの成果をもとに米国内から導入事例を拡大していく計画だ。

hitachi2_sj.jpg 図2 コンテナ型蓄電システムの適用イメージ。出典:日立製作所

 米国の電力市場では発送電分離が進んでいて、送電ネットワークは独立の事業者が地域ごとに運用する体制になっている(図3)。その中で東部の13州をエリアに事業を展開するPJMは最大手で、米国の人口の5分の1にあたる6000万人をカバーする送電ネットワークを運用している。今後エリア内で風力や太陽光による電力が増加しても、送電ネットワークを安定して運用できるように蓄電システムの活用に取り組んでいく。

hitachi3_sj.jpg 図3 米国の送電ネットワーク運用事業者。出典:Federal Energy Regulatory Commission

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