バイオマス発電で買取価格42円以上に、下水処理場から新電力へ供給自然エネルギー

愛媛県・松山市の下水処理場で消化ガスを燃料に利用したバイオマス発電が始まった。年間の発電量は一般家庭の1100世帯分で、そのうち4分の3を売電する計画だ。一般競争入札で売電先を募集した結果、新電力のエネットが固定価格買取制度の買取価格を3円以上も上回る単価で落札した。

» 2015年03月17日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 「松山市中央浄化センター」の全景。出典:松山市下水道部

 松山市が1962年から運営している下水処理場の「中央浄化センター」の構内で、3月15日にバイオマス発電設備が運転を開始した(図1)。下水の処理工程で発生する消化ガスを燃料にして発電する方式だ。

 発電能力が330kWの設備2基の構成で、年間の発電量は約400万kWhを想定している。一般家庭で1100世帯分の使用量に相当する規模になる。松山市は発電量の4分の3にあたる約300万kWhを4月1日から売電する予定だ。すでに一般競争入札を実施して、売電先は新電力で最大手のエネットに決定した。

 エネットの落札価格は電力1kWhあたり42.68円(税抜き)で、固定価格買取制度の買取価格39円と比べて3.68円も高い。松山市の売電収入は年間に約1億2800円になる見通しである。競争入札を実施したことによって約1100万円も収入が増加する。売電期間は1年間で、今後も毎年度分を一般競争入札で決定する方針だ。

 エネットのほかに四国電力と新電力の日本ロジテック協同組合も応札した。四国電力は42.00円、日本ロジテック協同組合は40.10円だった。四国電力は固定買取価格制度を3円も上回る意欲的な単価で応札したものの、エネットに及ばなかった。日本ロジテック協同組合は全国各地で再生可能エネルギーによる電力の調達を進めている。

 松山市の中央浄化センターは四国に造られた初めての下水処理場で、1日あたり最大で8万8000立方メートルの下水を処理することができる(図2)。処理した後の水は農業用水などに供給する。新たに開始したバイオマス発電のほかにも、処理水を利用した小水力発電(発電能力10kW)を実施中だ。

図2 中央浄化センターの下水処理施設。出典:松山市下水道部

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