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» 2015年03月30日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:形や色に配慮した水力発電所、滝の隣で470世帯分の電力を作る

熊本県の農業を支えるかんがい用水路を利用して、九州電力が新しい水力発電所の運転を開始した。川に放流する20メートルの落差を生かして200kWの電力を作ることができる。すぐ隣には観光名所の滝があるため、景観を損ねないように発電所の形や色を地元の関係者と協議して決めた。

[石田雅也,スマートジャパン]
ryugudaki1_sj.jpg 図1 発電所の位置。出典:九州電力

 九州のほぼ真ん中に位置する熊本県の山都町(やまとちょう)で、九州電力の「竜宮滝(りゅうぐうだき)発電所」が3月26日に営業運転を開始した(図1)。

 この一帯には阿蘇山の外輪山が広がり、山頂から流れ出る小さな川が数多くの滝を形成している。発電所の隣にある竜宮滝は観光名所になっていることから、建設にあたっては地元の理解を得ることが欠かせない。

 九州電力は自治体や地元の関係者と協議を重ねながら、発電所の形状や色彩に配慮した設計を心かげた。建屋の壁や屋根の色は周囲の岩や木に近づけた(図2)。発電機に水を引き込む水圧管路には、強度を高めるためにコンクリートで巻き立てる工法を採用している。再生可能エネルギーが自然環境を損ねたり、安全性を欠いたりしては意味がない。

ryugudaki2_sj.jpg 図2 「竜宮滝発電所」の全景と周辺環境。出典:九州電力
ryugudaki3_sj.jpg 図3 建屋内の水車発電機。出典:九州電力

 建屋の中にある水車発電機の色にまで気を配った(図3)。発電能力は200kWで、年間の発電量は170万kWhを想定している。一般家庭で470世帯分の使用量に相当する。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は97%で極めて高い。

 発電に利用する水は農地に供給するためのかんがい用水路を流れるもので、年間を通じて水量が安定している。水量は最大で毎秒1.4立方メートルになる。発電所の上を流れる用水路から水圧管路を通して、落差20メートルで水車発電機に取り込む構造だ。発電後の水は川に流すために、農地には従来と変わらない水量で届く。

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