あわや予備率2%以下、季節外れの寒波で東京の電力需給がピンチに電力供給サービス

4月8日(水)に全国各地を襲った寒波の影響で、東京電力の需給状況が予想外の厳しい事態に陥った。暖房需要が増加する18時台に最大電力が4000万kWを超えて、供給できる電力の予備率は危険な水準の3%を切る可能性があった。2年前の冬にも節電期間の前後で同様の事態が発生している。

» 2015年04月09日 12時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東京都心で雪が降った4月8日(水)は、東京電力管内の需要が朝から想定外の大きさになっていた。すでに9時台には前日の最大電力を400万kW近く上回る状態で、東京電力は火力発電所の出力を増やすなどの対策を実施して供給力を高めた。それでも電力の予備率(需要に対する供給力の余裕)は5%しかなく、需要がピークになる18時台には停電の危険性がある3%を下回ることも予想された(図1)。

図1 冬の1日における電力需要の変化。出典:東京電力

 そこで東京電力は他の電力会社に応援融通を依頼して、2社から合計100万kWの電力を18時〜21時の3時間にわたって受けることで危険を回避した。もし応援融通がなければ、予備率は2%まで低下していた。

 実際に18時台の需要は9時台と比べて100万kW以上も多い4078万kWまで上昇して、東京電力単体の供給力4157万kWでは予備率が1.9%だった。応援融通の100万kWを加えて、ようやく予備率は4.2%を確保することができた。4月では異例の需給率95.8%に達していた(図2)。

図2 2015年4月の需給実績(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力

 季節外れの寒波が襲ったとはいえ、東京電力の需給見通しに甘さがあったと言える。前月の3月には需要が4000万kWを超える日が2日あった(図3)。供給力も3月27日(金)には4500万kW以上を確保できていた。12月〜3月の節電期間が終了したことで、供給力の抑制を早めに実施した影響が考えられる。

図3 2015年3月の需給実績(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力

 実は2年前の2012年の冬にも似たような状況が発生している。節電期間よりも前の11月下旬に予備率が3%を下回ったことがある。この時は予想外の気温の低下に加えて、火力発電所のトラブルが重なっていた。節電期間の前後でも想定外の状況に備える体制が電力会社には求められる。

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