「水素を作る」という面では、離島など再生可能エネルギーの利用が盛んな地域からそれらのエネルギーを活用して水素を製造して貯蔵し、それを首都圏に運搬するイメージを描いている。その際に必要となるのが「再生可能エネルギー由来水素製造技術」と「エネルギーキャリアの首都圏への運搬技術」になる。
水素製造技術では、高効率な「高温水蒸気電解システム」の技術開発を実施する。一方、運搬技術については、運搬に適したアンモニアや有機ハイドライド(MCH)などエネルギーキャリアに転換する技術を開発する方針だ(図3)。
「水素を使う」という面については、CO2フリー水素によりエネルギーの使用時に排気ガスを出さない環境作りを進めていく。求められるのは「エネルギーキャリア水素ステーション技術」「アンモニア直接利用タービン発電技術」「アンモニア直接利用燃料電池技術」などになる(図4)。
水素ステーションでは、エネルギーキャリアとして期待されているアンモニアや水素ハイドライドを水素ステーションで利用するための関連技術の開発を進める。アンモニアの分解のための触媒や反応器、水素精製などの開発を進める他、有機ハイドライドの直接電解合成や脱水素システムなどの研究開発を実施する。さらに燃料電池車(FCV)などへの水素供給の実証なども進めるという。
発電技術については、エネルギーキャリアとして利用されるアンモニアをそのまま利用し、アンモニア直接利用タービン発電システムの研究開発を進める。アンモニアの直接燃焼による熱エネルギー変換など、基盤技術の開発を進めていく。また、アンモニアをエネルギーキャリアとした固体酸化物形燃料電池(SOFC)による発電システムの研究開発も進めていく。
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