テスラが蓄電池市場に参入、家庭用では7kWhで約36万円を実現蓄電・発電機器(1/3 ページ)

EV(電気自動車)ベンチャーである米Tesla Motors(テスラモーターズ、以下テスラ)は2015年4月30日(現地時間)、家庭用や法人用の蓄電池市場に参入することを発表した。新たに「Tesla Energy(テスラエナジー)」を立ち上げ、蓄電池の販売を開始する。

» 2015年05月07日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 2003年に創業したテスラはEVの生産と販売を行うEVベンチャーだ。ここまでEVとして、EVスポーツカー「Roadster(ロードスター)」やプレミアムEVセダン「Model S(モデルS)」などを展開し、成功を収めてきた。

 今回発表したのは家庭用の蓄電池「Tesla Powerwall」(以下、Powerwall)と、より大きな容量で店舗やオフィスなどを対象とした業務用蓄電池システム「Tesla Powerpack」(以下、Powerpack)だ。EVで活用した蓄電池のノウハウと生産力を生かして、据え置き型蓄電池市場に参入することになる。

従来の半値以下の価格を実現

 Powerwallは、家庭用電力のピークシフトや太陽光発電など再生可能エネルギーの自己活用を想定した、再充電可能なリチウムイオン電池だ。テスラのリチウムイオン電池パックと液体熱制御システム、太陽光発電のインバーターからのコマンドを受信するソフトウェアで構成されている。壁に直接マウントでき、再生可能エネルギーの活用状況などを把握できるように「ローカルグリッド」に組み込むことができる(図1)。

photo 図1:Powerwallの外観と設置イメージ(クリックで拡大)※出典:テスラ

 これらを活用することで、電力負荷のシフトを行える他、太陽光発電による電力の有効活用が可能となる。停電発生時のバックアップ電源としても活用できる。ラインアップとしてはバックアップ電源用の7kWh(キロワット時)モデルと、毎日使用することを想定した10kWhモデルの2モデルを用意する。連続電力としては2kW、ピーク電力としては3.3kWを実現する。利用可能温度は、-20度から43度までで、保証期間は10年としている。サイズは高さ1300×幅860×奥行き180ミリメートルで、カラーバリエーションも用意する。

 驚くべきは価格だ。今回受注開始を発表したPowerwallは、10kWhモデルで3500米ドル(約42万円)、7kWhモデルで3000米ドル(約36万円)としている。これには、インバーターや設置費用などは含まれていないとしているが、従来国内で発売されている同クラスの家庭用蓄電池は、補助金を活用してようやく100万円をきるレベルで提供されており、これらと比べると少なくとも半分以下のコストパフォーマンスを実現したといえる。

 同社のWebサイトでは既に予約を開始しており、出荷は2015年夏を予定しているという(図2)。

photo 図2:テスラのPowerwallの予約サイト。出荷は夏を予定(クリックでWebサイトへ)

 Powerwallの提供パートナーとして、ホームセンターである米TreeHouseや、インバーターメーカーである、ドイツのFRONIUS、米国のSolarEdge、バーモント州でクリーンエネルギーの提供を行う米国のGreen Mountain Powerなども発表された。

 FRONIUSに対しては、住宅用太陽光発電システム向けでFRONIUSのハイブリッドインバーターとPowerwallを組み合わせて提供するグローバルレベルでの提携を行う。一方、SolarEdgeのインバーターについてはテスラの電気自動車用の蓄電池で採用されている。テスラのEVと太陽光発電を共通のエネルギーシステムで管理する場合はSolarEdgeのインバーターが必要になるという。

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