変換効率97.5%の太陽電池向け中規模パワコン、曇りでも効率運用蓄電・発電機器

日立製作所は太陽光発電用パワーコンディショナーの製品群を拡充。日照量が少ない場合でもより多くの電力の出力を可能にする回路構成とともに、電力変換最高効率97.5%を実現する300kWモデルを発売した。

» 2015年07月03日 11時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 太陽光発電システムの市場拡大とともに商業施設、工場、学校の屋根や遊休地の活用などを目的とした中規模の太陽光発電の普及が進んでいる。日立製作所はこうした需要の増加に対応するため、大容量太陽光発電(メガソーラー)向けの500/660kW(キロワット)モデルに加え、新たに中規模太陽光発電向けの300kWモデルを投入した(図1)。

photo 図1:「HIVERTER-NP203i」300kWモデル ※出典:日立製作所

 新たに発売した300kWモデルは日射量の変化に応じて電力の出力がピークとなるポイントで運転を行う同社独自のMPPT制御(最大電力追従運転制御)を採用するとともに、業界トップクラスの電力変換最高効率97.5%を実現している。

曇りの日など日射量が少なくてもインバータ動作が可能に

 さらに特徴となっているのが、独自の回路構成である。太陽光発電モジュールからの出力電圧を安定した直流電圧に昇圧変換するチョッパ回路(直流ー直流変換回路)を設けることでパワコンの運転可能範囲を広げることを可能にした。(図2)。

photo 図2:新製品の装置構成図 ※出典:日立製作所

 それにより、朝夕の時間帯や曇りの日などの日射量が少なく、出力電圧が低い領域でもインバータ動作を可能にすることで、より多くの電力を出力できる(MPPT運転電圧範囲DC230〜600V)(図3)。

photo 図3:チョッパ回路付パワーコンディショナの出力電力比較 ※出典:日立製作所

 この他、パワコン、集電ラック、高圧盤、専用変圧器の全てを一体にした屋外用パッケージシステムでの提供を可能にすることで施工性の向上を図った。さらに20年間の保守サービス(定期点検、障害復旧)を提供する。同社では高効率運転が可能なパワコンの製品ラインアップの拡充を進めていく方針だ。

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